近年では、50、60代で起業する人が増加傾向にあります。60歳以降、それまで勤めていた企業の再雇用制度を使って年収300~400万円台の会社員を続けるか?思い切って起業してみるか?大塚寿氏による著書『会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)ではセカンドキャリアの選択肢のメリット、デメリットについて詳しく解説しています。本記事では一部を抜粋・再編集し解説します。
会社員を続けるか?起業するか?
三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱の「中小企業.小規模事業者における経営者の参入に関する調査」によれば、フリーランス起業家の年齢構成は50代男性が30.8%で全体のトップ、女性も50代が22.8%となります。なお、「フリーランス起業家」とは、本調査で「本業で雇用をしていない起業家(フリーランス)」と回答した者だそうです。要は、50代、60代で起業する人が年々増えているのです。
「こんな自分でも60歳以降も雇ってくれて、月給も手取り25万円程度にはなる」と満足できるなら、起業を考えることもないでしょう。
起業を考えるのはむしろ逆で、「こんなに実績のある自分が60歳からは一律再雇用で、年収は300~400万円台なんて納得できない。なので、これまでのスキル、経験、人脈を活かして起業しても、何とかやっていけるのでは」というタイプです。
60歳という年齢がポイントで、子供がもう巣立っていたり、住宅ローンも目途がつく年回りであったりして、起業で失敗したくらいでは致命傷にはならない気軽さがあります。だから50代、60代の起業が増えているのです、全体の起業自体は減っているにもかかわらず。
では、会社員をつづけるメリット、デメリット、起業するメリット、デメリットは何なのでしょうか。ここから考えてみたいと思います。
会社員をつづけるメリット、デメリット
給与生活者を続けるメリットとしては、リスクなく、毎月、決まった報酬にありつけるだけでなく、会社や上司の指示によって自身の業務の範囲や内容が決められており、何かあっても自身の責任とはならないことなのではないでしょうか。
また、デメリットとしては60代の給与が低いこと、仕事に見合った報酬ではないこと、逆に閑職でやりがいを感じられないことも少なくありません。年下の上司からあれこれ指示されるのを快く思わない人もいるでしょう。