そんなにストック必要?父親の買い物行動に違和感
あまりの金額に衝撃を受けた斉藤さん。言葉を失ったといいます。父は毎月18万円ほどの年金を受け取っていると聞いています。また退職金やそれまでの貯金、株式などを合わせて3,000万円ほどある……というのが、父親が仕事を辞めた10年くらい前に聞いた話。そのお金がそのまま残っているとは考えにくい。それなのに、リフォーム等に2,000万円もかけるなんて。どこにそんなお金があるというのか?
「次から次へと、よい提案をしてくれるんだよ」「おかげで住み心地は格段にあがったね」「最近は電気代も高いだろう。太陽光!? 助かっているよ」と、嬉しそうに話してくれる父親でしたが、カモにされているのは明らかでした。
また、斉藤さんには他に気になる点がありました。色々なもののストックが大量にあることに気づきます。シャンプーや中性洗剤のほか、ミネラルウォーターや醤油、ソース、マヨネーズ……斉藤さん自身も余分に1つは買っておいてストックしておくタイプですが、父親の場合は異常な数。明らかにおかしい。なぜこんなにもストックを買っているのか尋ねたところ、「買ったこと、忘れちゃってさ。この有様だよ」と笑って答えます。その姿をみて、また違和感を覚えた斉藤さん。
後日、改めて帰省した斉藤さん。父親を病院に連れていきました。結果は初期の認知症。絶対とは言い切れませんが、過剰とも思われるリフォームも、過剰ともいえるストックの購入も、すべては認知症が原因だったのかもしれない……。
日本における高齢化は急速に進行しており、2024年度のデータによると、65歳以上の高齢者の認知症患者数は2030年には約523万人、2060年には約645万人に達すると予測されています。これは65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症を患う水準です。
認知症により判断力が低下すると、さまざまな被害に遭遇する危険性が高まります。不必要な物やサービスを大量に買わされる「過量販売」はその典型的なものといえるでしょう。
認知症とわかっていれば対策を講じることもできるでしょう。しかし認知症に気づいていないケースも多く、被害が拡大してしまうことも珍しくありません。この年末年始、高齢の親に変わったところはないか、しっかりと見ておきたいものです。
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