早くにパートナーを亡くしたり独身のまま老後を迎えたりして、孤独を感じている高齢者は少なくありません。今回はそんな孤独につけこまれた結果、老後資産をほとんど失ってしまった男性の事例を小川洋平FPが詳しく解説します。
夢を見てしまいました…妻亡き後、孤独に暮らす資産5,000万円・72歳の年金暮らし男性。ある日受け取った「胸躍るメッセージ」に歓喜した数ヵ月後、悔恨の老後破綻へ【CFPの助言】
孤独と心の隙を突いた詐欺…「月利10%」の異常さに気づけないワケ
このような高齢者を狙ったケースでは、孤独感を埋めるふりをして信頼を得た上で、金銭を騙し取ることが多いと言います。特に、自分のことを気にかけてくれて優しく接してくれる女性をすっかり信じてしまい、冷静な判断ができなくなってしまうこともあります。
しかし、月利10%といった高利回りは、まともな金融リテラシーを持っていれば即座に詐欺と判断できるものです。自分で利益が出るビジネスを考えて仕組化すれば投資額に対して月利10%といった高利回りもあり得るものですが、自分が動かずに投資でこれだけの利回りを狙おうとすれば相当な高いリスクが伴います。
投資の神様と呼ばれたウォーレン・バフェットでさえも年利20%程度と言われていますので、素人が月利で10%などという利回りがいかに非現実的かはよくわかります。
「リスクを取ってまで投資したくはない」と考え、リスク資産への投資をまったく考えていなかったことが裏目に出てしまい、このような非現実的な利回りを詐欺だと気が付かない場合もあります。
ごく少額でも良いので現役の頃から「守りの投資」に慣れ、リスクとリターンについて感覚的に理解しておくこともこういった詐欺の話を聞いた時に「おかしい」と思い立ち止まって考えられる力が育ちます。
「おかしい」と思い、立ち止まって考えられるリテラシーを身に着けよう
今回は寂しい心に付け込まれてしまい、投資詐欺に遭ってしまった事例をお伝えしました。こういった詐欺は次から次へと新しい巧妙な仕組みが登場し、警察や消費生活センターへの相談件数は増加の一途を辿っており、手口はますます巧妙化しています。
ネットワークビジネスのような方式で広めていくものもあり、知らず知らずのうちに詐欺に加担してしまうようなケースもあります。自分がこういった詐欺に遭わないために、また他人を巻き込むことのないように、「おかしい」と思い、立ち止まって考えられるリテラシーを身に着け、またおかしいと思ったら市町村の消費生活センターなどの機関に相談しましょう。
小川 洋平
FP相談ねっと