老化は個人差が大きく、見た目でいうと実年齢よりも10歳以上若く見える人もいれば、15歳くらい老けて見える人もいます。こうした違いをもたらす元凶は「感情の老化」であると、医師の和田秀樹氏は話します。今回は和田氏の著書『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)から、詳しくご紹介します。
実年齢より15歳老けて見える人、10歳若く見える人…60歳以上で大きな違いが出てしまう「老化の元凶」とは【医師・和田秀樹の助言】
環状の老化を防ぐことが必要な理由
感情年齢は、前頭葉の委縮と密接な関係があります。人間の脳は部位によって働きが異なり、大脳の前方にある前頭葉は思考、意欲、感情、性格、理性など高度で人間的な感情をつかさどっています。
また、前頭葉は泣いたり怒ったりといった原始的な感情よりもっと微妙で高度な判断を担っていて、何かに感動したり、ワクワク、ドキドキといった好奇心やときめきを持ったり、やる気を出したり、気持ちのコントロールや切り替えをしたりといったことも前頭葉の仕事です。
この前頭葉の委縮は40代から始まり、放置しているとどんどん進行していきます。その結果、何を見てもおもしろくないし感動もしない、やる気が起きないし、気持ちの切り替えもできない、という状態になります。
年齢を重ねると「使わない部分の衰え」が激しくなります。たとえば、高齢者がなんらかのきっかけで数か月寝込んだりすると、そのまま寝たきりになってしまうことが多く、脳を使わない生活を送っていると、認知症のようになってしまうことも珍しくはありません。
頭も体も、使い続けることで若さを保つことができるのですが、そのためには「意欲」が必要です。たとえば次のようなことはありませんか。
「昔ほど何かに感動しなくなった」「嫌なことがあると、ずっと引きずってしまう」「アイデアが湧かなくなってきた」「最近、頑固になったと感じることがある」
もし、こうした〝自覚症状〞あるとしたら、あなたの感情は体以上に老化し始めているかもしれません。
和田 秀樹
国際医療福祉大学 教授
ヒデキ・ワダ・インスティテュート 代表
一橋大学国際公共政策大学院 特任教授
川崎幸病院精神科 顧問