息子への追加援助をしたいけれど、そう簡単にはいかない理由

仕送りの月7万円で足りない分は、息子自身がアルバイトをして賄っていました。収入は週3日で月6万円程度。家賃の安いアパートを選び、彼なりに生活を切り詰めて乗り切ってきたものの、物価上昇の煽りもあってやりくりが難しくなってきたといいます。

息子の窮状を聞き、田中さんは妻の喜子さんと対応を相談しました。しかし、夫婦には別の大きな課題がありました。それは、同居する喜子さんの母の介護問題です。

3年前まで喜子さんの兄夫婦が母と同居していたのですが、兄嫁との折り合いが悪く、実の娘の喜子さんにお役が回ってきたというわけです。喜子さんの実家は個人商店を営んでおり、母の年金は月4万円ほどと少額です。 

母の年金は、これまで家計の補助となっていましたが、2ヵ月前に自宅で転倒し、現在はリハビリ病院に入院しています。入院費用は月15万円かかり、退院後は自宅での介護サービスも必要となります。母の年金だけではこれらの費用を賄うことは到底できません。

自宅の改修も必要となり、喜子さんはパートの勤務時間を減らさざるを得ず、家計の収入はさらに減少する見込みです。田中さん夫婦が受け取る予定の年金月23万円と1,000万円の貯蓄では、先行きの不安は拭えません。

「私たち夫婦の収入だけでは生活が厳しく、貯蓄を取り崩さなければならない状況。あと2年で年金暮らしですし、息子に追加で仕送りをすれば自分たちの老後生活が危うくなって、結局先々、息子に迷惑をかけることになるかもしれません。大学分はなんとかしたとしても、さらに大学院に行きたいと言われたら一体どうしたらいいのか……」と、田中さんは苦悩を隠せません。