昔加入した保険。なかには、いまでは信じられないほど利率が高い「お宝保険」があります。しかし、安易に解約すると大損してしまうことも。大事にしたほうがいい保険、シニアになったら解約してもいい保険とは? 本記事ではAさんの事例とともに、定年前後の保険について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。
幸運にも〈数千万円〉を手に入れた59歳サラリーマン父「家族も喜ぶかと」→母と娘から「なんてことを…」「取り返しがつかない」非難轟々のワケ【CFPが解説】
「お宝保険」とは?
一般的に「お宝保険」とは、過去に販売されていた高い予定利率を持つ貯蓄型の保険商品を指します。予定利率とは、保険会社が運用を約束する数字で、高いほど契約者にとって有利になります。
これらの保険は、特に1990年代前半までに契約されたもので、現在では考えられないほどの高い利率が設定されていました。
お宝保険が生まれた背景
1990年代初頭、日本はバブル経済の影響で金利が高い時期が続いていました。そのため、保険会社は契約者に対し、高い予定利率を提供することが可能だったのです。たとえば、1990年ごろには予定利率が5.5%から6.0%と非常に高い水準で設定されていました。しかし、バブル崩壊後の経済状況の変化に伴い、予定利率は徐々に引き下げられ、現在では1%前後となっています。
お宝保険と呼ばれるものには、積立型の保険が挙げられますが、特に1990年代前半に契約した終身保険、個人年金保険は予定利率が高く、お宝保険と呼ばれるものが多いでしょう。
解約することで失われるメリット
お宝保険を解約すると、以下のようなメリットを失う可能性があります。
高い運用利回り:高い予定利率のおかげで、支払った保険料に対して多くの解約金(解約返戻金)や満期保険金を受け取ることができます。これを解約すると、高い運用利回りの恩恵を手放すことになります。
将来、景気が上下しても利率は変わらない
予定利率は、契約した時点の数値で決まり、今後変わることはありません。つまり、将来景気がよくなろうと、悪くなろうと利率は変わらないことになります。
Aさんは、「世界的に景気が盛り上がっているから、この保険もいま解約をすれば利益が出るのかもしれない」といった考えで解約を決めてしまったようですが、Aさんが加入していた固定の利率で運用するタイプの終身保険は、景気の影響を受けることなく運用が続くものでした。
お宝保険を解約する前には、その価値を十分に理解し、慎重に検討することが重要です。特に、解約返戻金の額や現在の保険商品の利率・保障内容と比較して、解約が本当に得策かどうかを確認しましょう。