現代人の多くが使用する「LINE」。ちょっとしたメッセージの文面が夫婦間のコミュニケーションに響くこともあるようです。本記事では、離婚カウンセラーである岡野あつこ氏の著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか? 夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社)より一部を抜粋・再編集し、具体的な事例とともに離婚の原因になりかねないLINEの使い方について解説します。
「愛人と暮らす別居夫」に娘の留学費用を払ってもらいたい…50代本妻が送った「戦慄のLINE」 (※写真はイメージです/PIXTA)

夫へのお礼LINEも恐怖

その後、夫が入学費用を振り込んでくれた後で、妻が送ろうとしたお礼のLINEも、これはカチンとくるだろうという書き方でした。

 

「こんなお金をすぐに用意できるなんて、実は貯めてもってたってことですよね。ありがとうございます」

 

海外留学ですから、学費もそれなりの金額です。大金を振り込んでもらったのは間違いないのですが、「こんなお金」という言い方はいささか嫌味に聞こえます。「こういうお金はポンと払えるのに、なぜもっと生活費を入れてくれないんですか」という「嫌味」が、読みようによっては、行間に漂ってきそうです。

 

本人はあくまで、「約束通りお金を振り込んでくれてありがとう」とだけ言いたいのですが、こんな文面を送ると逆効果になってしまいかねません。結局、私はどうアドバイスしたでしょう。

 

嫌味な書き方にならない「ちょっとしたコツ」

まず、振り込み依頼のLINEを次のように添削しました。

 

「留学先の学校から連絡がありました。加奈の入学費用を振り込まないといけないので、ご相談しました。金額は○万円。〇月〇日までに振り込む必要があるそうです」

 

嫌味なニュアンスはできるだけそぎ落とし、要件だけ端的に伝えるようにしました。また、お礼のLINEは次のように添削しました。

 

「加奈にも、パパのがんばりのおかげだと伝えています。いつもお仕事がんばってくれてありがとう。心から感謝しています。涙」

 

最後の「涙」は絵文字です。どうでしょうか。このほうが当初の文面よりも、ぐっと好印象ではないでしょうか。

別居中の夫と関係を修復したい妻

次も私がLINEを添削したケースです。

 

「おはよう。今日は寒いですね。ゴルフ、調子はどうですか。今年はドライバーが飛んでコンスタントに80台で回れるようになるといいですね。応援しています」

 

この相談者も女性で、夫は愛人にマンションを買い与えて、そこで一緒に暮らしています。別居状態で、夫としては離婚したいようですが、相談者である妻は何とか夫婦関係を改善したいと思っています。

 

妻のほうには、「いずれ夫と一緒にゴルフに行く」という目標があります。愛人はゴルフが下手で、夫はゴルフに連れて行かないそうです。そのため妻は夫と一緒にゴルフコースを回れるレベルまでスコアをあげて、一緒にラウンドして二人の関係を取り戻すことで、離婚を回避したいのです。

 

私は妻に「伝え方」を徹底的にレクチャーしました。その成果もあって夫の態度が軟化し、もう少しでゴルフにも誘ってもらえそうな雰囲気でした。先ほどのLINEはその状況で妻が送ろうとしていた文面です。どうでしょうか。このメッセージを読んで、「一緒にゴルフに行きたい」と思えるでしょうか。