晴れの定年退職の日に
Aさんは、パート勤めの妻(58歳)とサラリーマンの長男(27歳)との3人暮らしです。無事に定年退職を迎えたその日、Aさんは部下からもらった花束を抱えて帰宅し、家では妻の手料理でささやかながら3人でお祝いをしました。
終始ご機嫌なAさんでしたが、「さぁ、もう寝ようか」と席を立った際、妻から突然離婚を切り出され、大きく動揺します。自分には絶対にないと思っていた「熟年離婚」という4文字が頭に浮かびました。
「熟年離婚」とは、およそ20年以上の結婚生活のあとに離婚することを指します。また、自分や配偶者の定年退職をきっかけに離婚することは「定年離婚」といわれています。
離婚件数は減っても熟年離婚割合は増加…別れたい「妻たち」
離婚件数は、2000年ごろをピークに減ってきています。人口減少という原因もあるでしょうが、経済的な問題もあるのでしょう。
一方で、同居期間が20年以上のいわゆる熟年離婚の割合は増えています。やはり、お金に余裕のあるシニアのほうが離婚を決断できるのでしょうか。また、平成19年からスタートした「年金分割」も熟年離婚の増加を後押ししていると思われます。
なお、最高裁判所が公開している「性別離婚申し立ての動機別割合の推移」データによると、2023年の離婚調停申立ての件数は、男性1万5,192件、女性4万1,652件と、女性からの離婚申立てが圧倒的に多くなっているのがわかります。妻側が別れたがっている、ということですね。
さらに、離婚の申し立て理由についても男女別に次のように発表しています。
〇男性側の離婚理由ランキング
1位:性格が合わない
2位:精神的に虐待する
3位:異性関係
4位:浪費する
5位:家族親族と折り合いが悪い
〇女性側の離婚理由ランキング
1位:性格が合わない
2位:生活費を渡さない
3位:精神的に虐待する
4位:暴力を振るう
5位:異性関係