熟年離婚が増えるなか、近年、離婚相談は「不倫・問題行動」に由来する内容よりも、「モラルハラスメント(モラハラ)」や「価値観の相違」によるものが増加しているようです。一体なぜでしょうか? 本記事では、離婚カウンセラーである岡野あつこ氏の著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社)より一部を抜粋・再編集し、具体的な事例とともに熟年離婚の原因について解説します。
フルリモート勤務になった夫が15分に一度、仕事部屋から出てきて…結婚20年、40代主婦が“離婚”を考えた衝撃の理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

「15分に一度ジュースを飲みに来る夫」が許せない

さて、突然ですが、まずみなさんにちょっとしたクイズを出したいと思います。次にあげるのは、私が実際に離婚相談を受けた事例です。「夫のちょっとした行動が許せない」という相談ですが、妻のほうではこれを理由に離婚を考えているとのことでした。この夫婦はどうすればよかったでしょうか。みなさんも少しだけ考えてみてください。

 

相談者は40代の女性、パートで働いている主婦で、40代の夫と10代の娘との三人暮らし。結婚したのは約20年前とのこと。ちなみに、この「結婚して20年」というタイミングは、実は夫婦関係が危機を迎えやすいタイミングです。子育てが一段落すると、夫婦関係のほころびに目がいきやすいのです。

 

そんな難しい時期に、コロナが流行しました。「ソーシャルディスタンス」が叫ばれ、外出自粛が求められ、リモートワークやリモート授業が普及しました。夫の会社でもリモートワークが導入され、家で仕事をすることになりました。夫には自分の部屋があるので、日中は自室にこもり、仕事をしていました。一方、相談者である妻は日中は家事をしていて、だいたいリビングかキッチンにいます。

 

妻が家事をしている間、夫は自分の部屋からしょっちゅう出てきて、リビングでダラダラしたり、キッチンに来てジュースやお菓子を取っていくそうです。それも、たまに休憩に来るという程度ではなく、一五分に一度と、かなりの頻度だそうです。しかも、夫はキッチンやリビングにやって来るたびに、「もうこんな仕事は辞めたい」とか「うちの会社なんて潰れてしまえばいいのに」など、ネガティブなことを言ってくる。

 

相談者はそんな夫の行動が嫌でたまらないと言います。夫は友達が少なく、これといって趣味もないので、土日もずっと家にいます。相談者はパートをしていますが、夫が家にいると心が休まらないので、パート以外の日もなるべく家を空けているそうです。

 

「15分おきに夫がジュースを飲みに来るのが耐えられない」

 

それだけを聞くと、「そんなことで?」と思ってしまうかもしれません。でも、相談者の女性は真剣そのもの。「この先の人生を考えると、耐えられないほどの恐怖を感じる」とまで訴えます。

 

女性は、こうした自分の気持ちを書き留めるつもりでLINEで自分宛に送っていたのですが、不運にも、それを夫に見られてしまいました。夫はショックを受け、「もう気持ちがないことは薄々気づいていた。もういいよ。離婚しよう」と言ってきたそうです。

 

「たかがジュース」のはずが、離婚話にまでなってしまい、さすがにショックを受けた妻は、私のところに相談に訪れたのです。さて、みなさんならこの夫婦にどうアドバイスしますか?