iX+(イクタス)』からの転載記事です。
※本稿は、テック系メディアサイト『AIエージェントが“自律的”にタスクを実行
はじめに紹介するのは、AIエージェントが“自律的”にタスクを実行する事例です。
NTTデータは2024年10月に、営業領域における業務を自律的に支援・代行するサービス「LITRON Sales」を開始すると発表しました。
同サービスは、オフィスワーカーの業務に最適化されたAIエージェント「パーソナルエージェント」が複数の専門性を持つAIエージェント「特化エージェント」と連携して対象業務のタスクを抽出・整理・実行するというもの。
データ入力やアポイントメントの準備、さらには提案書の作成や契約書・社内文書の作成まで代行することが可能だといい、同サービスを活用することで、事務処理や資料作成、日程調整などによる営業担当者の業務負荷を減らすことが期待できそうです。
この自律型AIによる具体的なサービス内容は、たとえば訪問予定の企業名をパーソナルエージェントに指示すると、IR情報やニュースなどの外部情報や営業活動で得た情報、議事録情報などを検索して、生成AIが顧客課題を抽出します。その顧客課題に対して、自社の提供可能なサービスなどの情報を自律的に検索しながら提案資料を作成する……という仕組み。同社では2025年3月末までに提供をスタートする予定です。
さらにNTTデータでは、こうした生成AIのコンサルティングから導入、運用までを一貫して支援するそうで、アプリケーションからインフラまでを提供する形を予定。
同社では、こうした取り組みを通じて、2027年までに生成AI関連事業で累計1000億円の売り上げを目指す考えを明らかにしており、今後もサービスのラインアップを拡充していくそうです。
同サービスを活用することで、これまで多くの時間を割いていた業務から解放され、クライアントへの提案活動などの付加価値業務に充てる時間を創出することが期待できそう。今後、多くの営業担当者から注目を集めそうなサービスといえるでしょう。
電話やテレビ会議の通話を自動で書き起こし
次に紹介するのは、電話の書き起こしや解析を行うことができる電話・商談解析ツール「amptalk analysis」です。このツールは、2021年9月にローンチされたサービスで、IP電話やテレビ会議システムでの通話内容を自動的に書き起こし、要約・解析することができます。
たとえば、オンライン商談が終了すると、書き起こしデータがSalesforceなどの営業支援ツールに自動で入力される仕組みになっています。また、書き起こしテキストのキーワード検索や、録画の2倍速再生機能を備えており、効率的なデータ確認をサポートします。
さらに、「誰が何をどのくらい話したか」「お客様の課題をヒアリングしているか」など、会話の内容をAIが解析。これにより、商談の中で効果的なトークの特徴を発見し、チーム全体の営業トークを改善することが可能です。従来はブラックボックスだった商談内容を可視化できるため、営業スキル向上につながる大きなメリットがあります。
2024年7月には、富士通がamptalk analysisを導入したことが発表されました。同社は2021年にインサイドセールス組織を立ち上げ、現在では100人を超える規模で活動しています。
富士通では、受注率や営業生産性の向上を目指し、社員の育成やリスキリングに取り組んでおり、amptalk analysisを活用して電話内容を可視化し、スキルの向上と商談数の増加を図る構想です。この導入により、売上増にもつながることが期待されています。
amptalk analysis はこれまで多くのBtoB企業の営業組織に導入されており、近年ではイトーキ、旭化成、NECネッツエスアイなどをはじめとした大手企業への導入も進んでいるそう。今後は、書き起こしなどの解析精度の向上により、SalesforceといったSFAへのデータ蓄積などの簡素化や、商談解析ツールを用いた営業人材の育成などにも取り組んでいく予定としています。