米・OpenAI(オープンエーアイ)が開発した対話型AIツール「ChatGPT(チャットGPT)」の登場以降、ビジネスシーンや日常生活で急速に活用が進むAI。生成AIの次なる展望として、最近注目されているのが「AIエージェント」です。そこで今回は、AIが発展するうえで、大きなカギとなりそうなAIエージェントについて詳しく解説します。
話題の「AIエージェント」とは?自律的にタスクをこなし業務効率化を支援 (※写真はイメージです/PIXTA)

「Microsoft」や「Google」も注力しているAIエージェント開発の“現状”

Microsoft「Copilot Studio」でAIエージェントの構築が可能に

米・Microsoft(マイクロソフト)は、生成AIアシスタント「Copilot(コパイロット)」を、Microsoft 365アプリケーションに統合した「Microsoft 365 Copilot」をリリース。WordやExcel、PowerPointなどと連携し、文章作成やデータ分析、コードの補完、図表やプレゼンテーション資料の作成など、ユーザーの指示に従って日常的な業務をサポートしてくれます。

 

2024年10月には、最新アップデートを公開し、AIエージェントを構築できる新機能の提供を発表。11月中にパブリックプレビュー版(新しいソフトウェアやサービスが正式リリースされる前に、限定的なユーザーや一般の利用者が試用できるように公開されるバージョンのこと)がリリースされる予定です。

 

Microsoft 365 CopilotをカスタマイズできるAIプラットフォーム「Copilot Studio(コパイロットスタジオ)」で、企業のニーズに応じたAIエージェントを作成できる新機能で、チーム全体の業務支援が期待できます。

 

また、業務の効率化を支援するSaaS型ツール「Dynamics 365(ダイナミクス365)」にも、セールスやカスタマーサービス、サプライチェーンといった10種類の新しいAIエージェントを追加。2025年には、幅広い業務に対応すべく、より多くのエージェントが提供される予定です。

 

「Gemini」に注力するGoogle、新たなAIエージェントを開発中

米・Google(グーグル)の生成AIアシスタント「Gemini(ジェミニ)」は、文章や画像、音声など、さまざまな情報を組み合わせた高度な判断ができることが特徴です。「Google Workspace(グーグルワークスペース)」と連携すれば、Gmailやドキュメント、スプレッドシート内の情報を自ら参照し、メールの作成やプレゼンテーションの資料作成などの業務をサポートしてくれます。

 

2024年10月には、Googleマップに「Gemini」を搭載することを発表。ユーザーの検索の手間が減り、知りたい情報をすぐに得ることができそうです。また、同年5月に本国で行われた開発者会議「Google I/O 2024」では、Geminiと自社ブラウザ「Chrome」が連携する新たなAIエージェントを開発していることを示唆。早ければ、2024年中にプレビュー版が公開されるのではと期待されています。

 

Googleマップに「Gemini」を搭載することを発表したGoogle
Googleマップに「Gemini」を搭載することを発表したGoogle

開発が進む「AIエージェント」の課題と今後

ユーザーの指示が必要な従来の生成AIとは異なり、自己判断で次のステップに進むことができるAIエージェント。ビジネスシーンにおいて、業務の効率化や生産性の向上、作業の負担軽減などのメリットがあり、今後も大きなニーズが期待される新しい技術です。

 

ただし、発展途上の技術のため、実用化にはいくつかの課題もあります。AIエージェントは、誤った情報を生成するリスクがあり、不正確な情報をもとに作業を進めてしまうと、目的とは異なる結果になる可能性があります。また、情報保護に関する問題もあり、十分なセキュリティ対策が求められています。

 

現在のAIエージェントは、あくまでサポートツールとして使われ、最終的な判断や結果の確認には、ユーザーの関与が必須。今後、研究が進み、これらの課題が解決されれば、人間と同じように業務を担う“AI社員”としての役割が期待できそうです。

 

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文/渡邊晃子

フリーライター。1983年生まれ。大学卒業後、会社勤務を経て、2010年からフリーランスのライターとして活動。WEB媒体を中心に、エンタメ、ライフスタイル、テック、子育てなどの分野で執筆を行う。