大野さんの中古マンション購入、家計のプロはどう見る?

大野さんの家計収支を確認しつつ、50代で家を買う場合に経済的に配慮するべきチェックポイントを解説していきます。

〈プロフィール〉

大野 真由美さん(54歳):会社員

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〈収入〉

・現在~60歳(定年退職)まで        年収:410万円(手取り330万円)

・60歳(定年退職)~65歳まで       年収:280万円(手取り220万円)

・65歳からの公的年金受給予定額     年金:160万円(手取り146万円)

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〈支出〉

・年間の支出合計:年280万円

・生活費(食費・日用品費・光熱費・通信費):年108万円(月9万円)

・ペット代:年15万円

・小遣い(美容代・被服費等):年36万円

・住宅ローン:年88万円(月7.3万円。借入額1,000万円。返済期間11年(大野さん65歳時完済))

・住居費(固定資産税・修繕積立金等):年27万円

・保険料(医療保険):年6万円

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〈金融資産〉

・500万円

※60歳定年退職時、退職金1,000万円受給予定

※中古マンション購入前の金融資産:2,000万円

※中古マンション購入にかかった費用合計:1,500万円

(内訳)

・住宅ローン諸費用:10万円

・中古マンション購入諸費用:190万円

・中古マンション購入頭金:1,300万円

ポイント1. 無理のない返済計画を立てられているか?

50代で家を購入し、住宅ローンを組む場合には、働くことができる期間も限定されることや収入が下がる可能性にも配慮し、無理のない資金計画を立てる必要があります。

一般的に、住宅ローンを組む場合、返済率は手取り収入の20%、多くても25%までが理想とされています。今回の事例の大野さんの場合、現在の手取り収入330万円、住宅ローンの年間返済額が88万円となり返済率は27%と理想より上回っています。

また、大野さんは住宅購入時、諸費用や頭金で貯蓄を1,500万円使いました。大きな支出をカバーするためには、購入後の暮らしをコンパクトにしなければなりません。今の支出であれば、60歳定年退職までに、退職金1,000万円を含めて、約1,200万円を老後資金として貯えることができ貯蓄は1,700万円となります。また、65歳住宅ローン完済時の貯蓄額は1,400万円です。

ポイント2.貯蓄はいつまで持つ?65歳以降も働くことを検討

65歳から公的年金の受給がスタートします。しかし、健康で元気であれば、65歳以降も働くことで貯蓄の取り崩しを最小限に抑えることができます。とくに女性は長生きなので、資産がいつまで持つか確認することが大切です。

大野さんのケースでは、公的年金が年160万円のほかに65歳から70歳まで月10万円(年120万円)の収入があった場合、貯蓄額は70歳で1,850万円、80歳で1,600万円、90歳で1,340万円となります。かたや、65歳以降の収入が公的年金160万円のみの場合、70歳で1,200万円、80歳で950万円、90歳で720万円の貯蓄額です。

人によって必要な老後資金の金額は異なります。しかし、病気や介護、自宅の修繕等に備えるためにもできるだけ長く働き、貯蓄の取り崩しを最小限に抑えることが老後生活の安心に繋がります。

大野さんの中古マンション購入、家計のプロはどう見る?

上記のポイントを考慮しつつ、大野さんは中古マンションを買って問題なかったのかを改めて確認しましょう。

65歳から受け取る年金は年160万円(月13万円)になる予定です。貯蓄額が1,400万円とすると、住宅ローン完済後は、生活費や固定資産税・修繕積立金等で月15万円使ったとして、贅沢をしなければ90歳まで生きたとしても生活に困ることはないでしょう。そして、上述の通り長く働けば、よりゆとりある老後生活を送ることができます。猫との生活を守るためにも健康に配慮しながら、最低65歳までは働くといいでしょう。

また、頭金は物件費の2~3割を充てることが一般的であり、大野さんのケースでは460万円~690万円となります。しかし、大野さんは1,500万円を頭金やローンの諸費用に使っており、かなり多めです。

これで貯蓄が減ったことが大野さんの不安につながっていたわけですが、借入金額を減らすことで返済期間を短くすることができました。本格的に老後生活に突入するときにはローンも完済しています。公的年金のみの生活となると、収入も限られてくるため会社を退職するまでにローンを完済しておくという選択はよかったのではないでしょうか。

結果的には大野さんの選択は正しかったと言えますが、中古マンションの購入を決める前に専門家に相談し、ライフプランで確認していれば、こんなにお金のことで不安に陥ることはなかったかもしれません。