AIアバターが疾患説明、乳がんの疑問点もチャットボットで回答
医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪国際がんセンター、日本アイ・ビー・エムは、2024年8月より、乳腺・内分泌外科の外来初診患者に向けた「対話型乳がん疾患説明生成AI」の実運用をスタート。AIアバターと生成AIチャットボットを組み合わせた双方向型の会話システムで、疾患と治療に対する理解を深めることが目的です。
患者は、受診前にQRコードからWEBブラウザにアクセスすると、診療前の待ち時間中に疾患の説明動画を視聴可能。疑問点があれば、キーボードや音声でチャットボットに入力して、生成AIと対話形式で質問することもできます。なお、同システムには、IBMwatsonx.aiがサポートする最新の大規模言語モデル(LLM)が活用されています。
これまでの乳がん診療では、患者のライフスタイルや希望に合わせた治療法を選択するなど、内容が複雑なため、疾患説明と同意取得に約1時間を要していました。今後は、対話型乳がん疾患説明生成AIの導入で、疾患説明と同意取得にかかる時間を30%軽減することを目指しています。
また、乳がんの罹患数が増加するなか、全国の乳腺専門医は減少傾向にあり、十分な診療が行えない地域も多く存在しています。今後は、オンラインの対話型乳がん疾患説明生成AIを活用することで、全国どこでも標準的な専門治療を受けられるようになることが期待されています。
早期発見・治療が重要視される「乳がん」、日本の検診受診率は47.4%
早期発見し、早期治療を行うことができれば、完治する可能性が高い乳がん。しかし、日本での乳がん検診受診率は47.4%にとどまっており、諸外国に比べて低いのが現状です。今後は、AIをはじめとする最新テックを活用した技術が、乳がん診療の要となりそうです。
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文/渡邊晃子
フリーライター。1983年生まれ。大学卒業後、会社勤務を経て、2010年からフリーランスのライターとして活動。WEB媒体を中心に、エンタメ、ライフスタイル、テック、子育てなどの分野で執筆を行う。