パソコンを買いたいと考える人にとって、「どの機種を買うか」と同じくらい頭を悩ませるのが、「いつ買うか」という問題。購入直後に新機種が発表されると、残念な気持ちになってしまうものです。もちろん、「買いたいときが買い時」というのが一般論として正解なのはわかります。それに以前に比べるとPCの性能は大きく向上しており、最新機種を買わないとすぐに陳腐化してしまうなんてこともありません。ただし、2024年に限って言えば、もう少しだけPCを買うのは待ったほうが良いでしょう。なぜなら、マイクロソフトがこの秋に、Windowsの大幅な機能追加を予告しているためです。
2024年秋、PCがハードとソフトの両面で大幅進化して登場!AI利用に最適な「Copilot+ PC」とは? (※写真はイメージです/PIXTA)

 ※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

人間のことを理解するコンピュータ…AI時代のPC「Copilot+ PC」が登場!

マイクロソフトは毎年、Windows 11の大規模アップデートを行い、様々な機能追加や改良を行ってきました。そのなかでも2024年は、従来のアップデートを大きく上回る規模での機能追加が予告されています。

 

そのアップデートとは、AI機能の強化です。マイクロソフトは2024年の5月に、今秋にリリースが予定されているWindows 11の新しいバージョン「24H2」において、様々なAI機能を追加することを発表しました。

 

それに合わせて、新しいバージョンのWindows 11と、AI機能を十分に活用できる高性能なハードウェアとの組み合わせを、新たに「Copilot+ PC」と名づけ、大きくアピールしていくことも明らかにしています。

 

マイクロソフトによれば、Copilot+ PCとは「人間のことを理解するコンピュータ」だとして、従来のWindowsパソコンとは異なるレベルのユーザー体験を得られるものとアピールしています。

 

それというのもCopilot+ PCは、NPUを内蔵したCPUを搭載していることが、ハードウェアにおける大きな特徴です。NPUとは、Neural Processing Unitの略称で、AIに関する処理を高速に、実行することができる集積回路のこと。

 

つまり、Copilot+ PCは、Windows 11というOS=ソフトウェアの面からも、NPUを内蔵するCPU=ハードウェアの面からも、AIを快適に使えることを目指した、まさにAI時代のPCというわけです。

 

Copilot+PCに準拠し、最大47TOPSのNPUを内蔵した「インテル®Core™Ultraプロセッサー(シリーズ2)」を搭載。ASUSJAPANが2024年10月3日発売の「ASUSZenbookS14UX5406SA」(ASUSJAPAN)
Copilot+ PCに準拠し、最大47TOPSのNPUを内蔵した「インテル®Core™Ultraプロセッサー(シリーズ2)」を搭載。ASUS JAPANが2024年10月3日発売の「ASUS Zenbook S 14 UX5406SA」(ASUS JAPAN)

続々とCopilo+ PCの最新機種が登場!

ちなみに、従来のCPUでもAIが動かないわけではありません。しかし、Copilot+ PCがCPUに求めるAI能力は、40TOPSとなっており、これはNPUを搭載していない最新CPUだとギリギリの性能です。しかし、Clopilot+ PCに搭載されているCPUに内蔵されたNPUは、それだけで40TOPSを超える性能を持っています。

 

40TOPSという高い性能のNPUをCPUに内蔵することによって、AIに関する処理を高速化すれば、CPUはAI以外の処理に専念できるので、AIPCのパフォーマンスを大きく向上させることができます。

 

なお、TOPS(Tera Operations Per Second)とは、AIに必要な計算能力の性能を示すもので、これが大きいほど高速にAIを動作させることができ、40TOPSは1秒間に40兆回の計算ができるという意味です。AI開発に使われる最新のGPUだと1000TOPSという、とてつもない性能のものもありますが、その替わりに数百ワットもの消費電力が必要なため、ノートPCには搭載できません。

 

Copilot+ PCに必要な40TOPSという性能は、AI開発に使われる最新GPUの1000TOPSと比べると小さなものです。しかし、AIを開発するのではなく、AIを利用するという点においては、十分すぎるほどの性能を発揮します。

 

このNPUを搭載したCPUとして、Intelの「Core Ultra シリーズ2」、AMDの「Ryzen AI 300」、Qualcommの「SnapDragon X」が発表されており、すでにこれらのCPUを搭載したPCもいくつか販売が開始されています。

 

Copilotキーを搭載した2024年10月5日発売の「FV5」シリーズの新モデル。(パナソニックグループ)
Copilotキーを搭載した2024年10月5日発売の「FV5」シリーズの新モデル。(パナソニックグループ)

 

Snapdragon®XElite搭載。ビジネス向けCopilot+PC「ThinkPadT14sGen6」(レノボ)
Snapdragon®XElite搭載。ビジネス向けCopilot+ PC「ThinkPad T14s Gen 6」(レノボ)

 

しかし、Windows11の最新バージョン「24H2」の正式リリースが2024年11月を予定しているため、各パソコンメーカーもこれらの最新CPUを搭載したCopilot+PCに対応した最新モデルは、これから店頭に並ぶことになります。従って、これから発売される「Copilot+ PC」を選べば、WindowsのAI機能をフルに使うことができます。