Copilot+ PCだからできる新たなAI利用で変わっていくPCの使い方
では、Windows 11「24H2」では、どのようなAI機能が追加されるか紹介しましょう。
現在、Windows 11を使っている人なら、タスクバー上に青とピンクのリボンのようなアイコンを見たことがあるかもしれません。これは「Copilot(プレビュー版)」という、Windowsから利用できるAI機能のプレビュー版、つまりAIについてWindowsユーザーに知ってもらうための、いわばお試し版です。
お試し版とはいえ、Copilotをクリックするとウインドウが立ち上がり、AIとのチャット画面が出てきます。ここで、質問をしたり、画像をリクエストすることで、AIが疑問に答えてくれたり、画像を生成したりしてくれます。この秋に登場する24H2に搭載されているCopilot+は、このCopilot(プレビュー版)の完成版にあたります。
質問への回答や生成する画像の精度が向上していたり、Copilotにお願いすることでWindowsの設定変更をしてもらったり、といったことが可能になります。
また、それに加えて、「リコール機能」「コクリエイター」「ライブキャプション」「Windowsスタジオエフェクト」の4つです。順番に見ていきましょう。
リコール機能
PCで以前見たウェブサイトや動画、読んでいたメール、またはアプリケーションでしていた操作などを記録しておき、あとから呼び出すことができます。ある時点でのPCの画面をキャプチャしており、「あの情報はどのページで見たんだっけ」「あのメールってどれだっけ」といったこと忘れてしまっても、紙芝居のようにパラパラと時系列ごとのデスクトップの映像を見て、目的の情報などを探すことができます。
コクリエイター
Windowsに標準で搭載されているお絵かきソフト「ペイント」にAIによる画像生成機能が搭載されます。「背景を消して」「空を青空にして」「似た画像を作って」とAIに指示するだけで、画像処理をしてくれる。また、マウス等でラフに書いた絵を、AIがブラッシュアップして、キレイに整ったグラフィックに変換することもできます。
ライブキャプション
再生している音声から、自動的に字幕を表示してくれるというもの。Windows上で再生される音声ならすべてに対応しており、ブラウザで表示しているストリーミング映像、ウェブ会議などでも字幕を表示可能。また、様々な言語から、英語に翻訳もできる。(英語以外の言語への翻訳機能は未定)
Windows スタジオエフェクト
ウェブ会議での自分の映像を加工したり、音声品質をブラッシュアップできたりするツール。この機能はWindowsの一部として波ガラクタメ、特定のアプリだけでなく様々なウェブ会議アプリで利用可能なのが特徴。すべてのアプリで背景や効果を統一して、どの会議、どのアプリでも同じビジュアルで会議に参加するといったことが可能になります。
これらの機能は、他社の生成AIサービスやアプリで実現しているものも多いです。しかし、Copilot+ PCの最大の違いは、こうしたAIに関する機能がネット上のクラウドではなく、手元のPCのなかですべて行われる点にあります。
生成AIのサービスは無償で利用できるものも多いですが、頻繁に利用したり、最新機能を使ったりするには、有償となるサービスが大半です。しかし、Copilot+ PCならば、クラウドに接続することなく、手元のPCだけで様々なAI機能を利用することができます。
今後は、高度な処理を求めるユースケースはクラウド上のAIで、簡単な処理であったり、ウェブ会議の映像の処理やPC自体をAIが操作するといった使い方の場合はPC上のAIを利用する、といった使い分けをするのが一般的になっていくでしょう。「Copilot+ PC」に期待です。
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<著者>
青山 祐輔
ITジャーナリスト。
IT系出版社でテクノロジー系Web媒体の記者、ネットワーク関連の月刊誌編集者、シンクタンク研究員等を経て独立。フリーランスとしてIT、ビジネス分野で取材・執筆を続けるほか、広告・PR等の制作やオウンドメディアのディレクション等を広く手がける。