文句ばかり言う子ども
小学校の先生をして20年以上経ちますが、毎年クラスに数人、このタイプがいます。そうです、文句ばかり言う子です。
「宿題多い!」
「算数やりたくない!」
「こんなんできひん!」
若いころの僕は、こういった文句はねじ伏せていました(笑)。つまり、有無を言わせないのです。
「宿題多い!」
『復習しないと身につきません!』
「算数やりたくない!」
『そんなわがまま通用しません!』
「こんなんできひん!」
『逃げるな!』
しかし、ねじ伏せてばかりいると、当然反感を買います。今ならわかりますが、文句をすぐに否定していたから、子どもたちも反発していたのです。家ではどうですか? かつての僕のようにすぐ否定で返していませんか?
「ダメ!」
「あかん!」
「口答えするな!」
今の僕は、子どもの文句に怒りません。
「へぇ、そうなんやな」
と、まず受け入れます。するとやんちゃ坊主の子どもたちは、えっ!となります。あれ、言い返してこないと。子どもの文句に「理論」で返していると、子どもは負けるものかと理論で勝とうとしてきます。まあ、その理論は屁理屈が多いのですが(笑)、勝っても負けても泥仕合。子どもに逆恨みされるだけです。
そうではなく、子どもの言葉をまず受け入れる。そういった姿勢が大事です。受け入れると、同じ返答でも子どもの態度が変わります。先の例でいうとこうなります。
「宿題多い!」
『多いか』
「多いです」
『どうしてそう思うの?』
「習い事があって、いつも夜遅くになります」
『なるほど。だから多いと思うんやね』
「はい」
このように子どもの話を否定せず、どうしてそう思うのかを聞いてみると、子どもの背景がわかることがあります。
もちろん、習い事があるからといって宿題を減らすわけにはいきませんが、むやみやたらに子どもが言っているわけではないことがわかります。その上で、気持ちは理解できるけれど、その理由では宿題は減らせないことを淡々と言うと、納得してくれます。なぜなら、宿題が多いという意見をこちらが一度受け入れているからです。
一つひとつの文句を丁寧に聞いていると、だんだんと文句はなくなります。クラス替え直後の4月当初にあった文句は、だいたい4月中旬でなくなります。しかし、若かりしときの僕は、子どもの文句に真っ向勝負でぶつかっていたので、1年後の3月まで子どもの文句と戦い続けていました。
継続しているとうまくいかないことが重なり、ついつい文句を言ってしまうことがあります。そんなときに親御さんがお子さんの言葉をしっかり受け止め、どうしてそう思うのかを聞くことで、文句が前向きな気持ちに変わります。
子どもが文句を言うときは、総じて満たされていないとき。満たされない気持ちを文句という形で表しているだけです。だから本心でないことが多いのです。先の宿題の例も同じで、本気で宿題が多いとは思っていません。文句は、「習い事で忙しいのに、僕がんばってるんやで」というアピールでもあるのです。
【まとめ】
文句は否定せず、受け入れる。その後、こちらの意見を言う
ぞう先生