40代息子夫婦の“粘り強い説得”で老人ホームへの入居を承諾したCさん

都内に住む夫Aさん(49歳)と妻Bさん(48歳)。ともに会社員として働いており、世帯年収は1,000万円ほど。19歳の娘は「1人暮らしはお金がかかるし面倒だから」と、自宅から大学に通っています。

半年前にAさんの母が80歳で亡くなってからというもの、Aさんの父であるCさん(83歳)の“衰え”が顕著にみられるようになりました。

A夫妻はそんなCさんを心配していましたが、Cさんが1人で暮らす実家は北陸にあり、冬は積雪も厳しく、なにかあっても都内からすぐに駆けつけることはできません。

なんとか目の届く範囲で暮らしてほしいと考えた2人は、Cさんを高齢者施設へ入居させようと考えました。

当初は「施設は嫌じゃあ……ワシャあ自宅の布団で最期を迎えるんじゃ!」と、老人ホームへの入居を頑なに拒否していたCさん。しかし、Aさん夫妻は「頼むよ父さん……もしなにかあったらじゃ遅いんだ。心配するこっちの身にもなってくれ」と、粘り強く説得。あまりにもしつこい息子夫婦に対し、Cさんは嫌々ながら施設への入居を受け入れました。

Cさんは認知症の診断を受けていないため、認知症専門のグループホームへ入居することはできません。資産も多いわけではなく、収入も年金以外にはなにもないため、多額の入居一時金が必要な有料老人ホームへ入居するのも金銭的に困難です。

さらに、Cさんはまだ介護認定も受けておらず、介護が必要というわけでもないため、要介護3以上の高齢者を対象としている特別養護老人ホームへの入居もできません。

そのため、近くにある「サービス付き高齢者向け住宅」のなかで、月額利用料が年金の範囲内で暮らせる施設を選びました。部屋代、管理費、食費などすべて合わせて月14万円ほどの施設です。

施設への入居を決める前に必ず行うべき施設見学は、A夫妻が仕事の合間を縫って行いました。