レジャーやスポーツ、音楽鑑賞など、子どもの成長に欠かせないさまざまな「体験」。しかし、子どもたち全員が享受できているものではありません。親の経済状況に大きく左右される「体験格差」の実態を、事例とともにみていきましょう。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏が解説します。
なんで? お金ないの?…動物園は年に1回“無料の日”だけ。手取り月収15万円「シングルマザー」の悲鳴【インタビュー】 (※写真はイメージです/PIXTA)

忙しすぎて「節約」も考えられない

―面接も過酷ですし、契約も短期で不安定ですね。来年どうなるかもわからない。物価も上がっていますよね。

 

すごく高いですよね。例えば今日は牛乳がこんなに高いんだ、じゃあ買うのやめようって、買えるものがすごい少ない日もありますね。そういうことが続くと家に食べ物がなくなってしまって。

 

フードバンクみたいなものもたまに利用しています。子どもたちと一緒に行くんですけど、「友達に言ってもわからないから言わないようにね」って言ったりして。

 

ただ、今の仕事になって忙しくなってからは、毎日をこなすことが精一杯で、節約とかもあんまり考えられなくなってしまって。これはこっちの安いお店に買いに行ってとか、そういう体力がもう残っていなくて。少しは稼いでいるから、ちょっと高いなと思いつつ買ったりすることもあります。

 

仕事からの帰りで運転しているときに、道が混んでいるとイライラしてくるんです。子どもたちがおなか空いてるだろうなとかって考えて。早く帰らないとって。

仕事以外の“収入”もあるにはあるが…

―仕事の収入以外に行政からの手当などは受けていますか。

 

児童扶養手当があります。前は全部支給だったんですけど、今の仕事になってから一部支給になりました。

 

あとは児童手当で、「児童手当は全部進学のために貯金したほうがいい」と本で読んだので、貯金に回しています。本の情報ばっかりで……。ほかの家がどんな感じかわからないんですけど、ほかの家と同じくらいは貯めたいです。多分無理だけど……。

 

―そういった情報についてやりとりできる人は周りにいますか。親御さん同士でのやりとりなどがあるでしょうか。

 

そういう人は一人もいないんです。相手がどんな状況かわからないので、色々と聞いたら傷つけたり、つらい思いをさせたりとかもあるかなって思うと、あまり踏み込めなくて。だから、一番知りたいことは聞けないです。友達はほしいんですけど。でも……。