レジャーやスポーツ、音楽鑑賞など、子どもの成長に欠かせないさまざまな「体験」。しかし、子どもたち全員が享受できているものではありません。親の経済状況に大きく左右される「体験格差」の実態を、事例とともにみていきましょう。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏が解説します。
なんで? お金ないの?…動物園は年に1回“無料の日”だけ。手取り月収15万円「シングルマザー」の悲鳴【インタビュー】 (※写真はイメージです/PIXTA)

貧乏でしたが…小西さんが子どもだった頃の記憶

―子どもたちも比べてしまいますよね。小西さんが子どもだった頃は、ご両親が色々なところに連れていってくれるような感じでしたか。

 

私の父はすごい貧乏だったときも、年に1回、夏はキャンプ、冬はスキーとか温泉とかに連れてってくれましたね。そういうのは大事にしていて。なので、孫にもさせてあげたい。私もすごい楽しかったという記憶があります。昔の写真も残っています。

 

ただ、自分が子どもたちにしてあげるとなると、お金的にも、体力的にも、時間的にも、難しいですね。

 

―小西さんのご両親は近くに住んでいるんですね。

 

そうですね。子どもたちが遊びに行くこともあります。いつも家に3人でいるので、逃げ場というか、別の居場所も子どもにとっては必要かなと思います。でも、子どもたちには「あまり頻繁には行かないでね」って言ったりします。両親も疲れてしまうので。

安定しない経済状況に漠然とした不安感

―お仕事について聞いてもいいですか。

 

はい。離婚をしたあと、仕事を変えました。週4のパートで働いていたのを、正社員の事務に。週5の仕事で、週6のときもありました。そのときは結構しんどかったですね。収入は手取りで月約8万円から月約15万円まで増えました。ただ、最初からすごいパワハラを受けてしまってきつかったです。でも、仕事を辞めると子どもたちを保育園に預けられなくなってしまうので、しばらくがんばりました。

 

そのあとに就いたのが今の公務員系の仕事で、有期雇用契約のパートです。毎日朝から夕方まで、土日祝日は休みです。自分が倒れちゃうと何もかもうまく回らなくなるので、絶対にパワハラがなくて、子どもの行事や体調不良時になるべく迷惑をかけずに休める仕事がいいなと思って選びました。手取りで15万円ぐらいで、ボーナスもあります。

 

ただ、1年契約なので、そこが不安です。職場の人数もどんどん減ってきています。毎年、既存のメンバーと外から応募してきた人が一緒に集団面接を受けるんです。そこで受からないと次の年は続けられません。