iX+(イクタス)』からの転載記事です。
※本稿は、テック系メディアサイト『ソサエティ5.0とスマートシティ
日本政府は2016年の第5期科学技術基本計画において、目指すべき未来社会の姿として「Society5.0」(ソサイエティ5.0)を提唱しました。「仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」を目指すことがうたわれています。
狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会と人間社会は進化を続けてきましたが、さらに新たなステージへと進化させようという未来感あふれる構想です。
面白いのが、未来の社会は私たちが生きている情報社会とは別物だという点です。
人間社会は今後も情報化、デジタル化の方向に進んでいくことは間違いありません。だとすれば、情報社会とソサイエティ5.0は何が違うのでしょうか。
大きくわけて3つの要素があると考えられます。第一がデータの連携です。現在でもさまざまな形でデータが記録されていますが、個別に管理されているデータが多く、組み合わせて使うことが困難なケースがほとんどです。データが流通する仕組みを作り、複数のデータを組み合わせて使えるよう標準化し、個人や企業を簡便に確認できる認証の仕組みなどが必要となります。
第二に情報処理です。情報社会でも大量のデータが扱われていますが、そのデータをどのように処理するかは人間の仕事でした。実際の作業はコンピュータによって自動化されていたとしても、どのようなデータを使ってどのような課題を解決するかまで考えるのは人の役割です。新たな社会ではAI(人工知能)の発展もあり、データ連携によって得られたさまざまな情報をコンピュータが分析し、どのような行動が必要かを人間に提案するようになります。
そして、第三に仮想空間と現実空間の融合です。コンピュータやスマートフォンの中の世界と、私たちが生きている現実は別世界である……というのは当たり前の話ですが、その関連性が高まっていくことを指します。
最終的には社会全体でこうした融合が進められますが、最初の段階では地域ごと、都市ごとに個別の取り組みを進めることになります。その意味で「スマートシティは、Society 5.0の先行的な実現の場」(内閣府公式サイト)と考えられるわけです。