iX+(イクタス)』からの転載記事です。
※本稿は、テック系メディアサイト『飛び回る害虫の位置をAIが予測してレーザービームで迎撃
はじめにご紹介するのは、飛び回る害虫の飛翔位置をAIが予測し、レーザービームで迎撃するシステムです。
国立研究開発法人である農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が開発しました。システムに使用される撮影装置「ステレオカメラ」は、3次元の空間情報が得られる特殊なもので、カメラを2台平行に並べた構造をしています。
まず、このステレオカメラが、不規則に飛び回る害虫を撮影して3次元的な計測を行います。こうして得られた飛行パターンをモデル化し、リアルタイムで得られる位置情報と組み合わせることで、ターゲットの害虫が次に移動するだろう飛行位置の予測を行います。算出された予測位置に向かって、高出力レーザーを照射し、害虫を駆除することができるという仕組みです。
このシステムの特筆すべき点は、飛翔する害虫の0.03秒後の位置を、AIがリアルタイムで予測できるところにあります。なぜなら、開発当初は、ターゲットを検知してからレーザー狙撃まで0.03秒程度のタイムラグが生じるため、その間に対象が移動してしまうのが問題でした。そこで、AIによる進路予測を組み合わせることで、ターゲットに向けたレーザー照射が可能になりました。