2018年からスタートした、20年間非課税で投資できる制度「積立NISA(つみたてNISA)」。効率良く資産形成ができる便利な制度ですが、「非課税期間が終わる20年後にどのような対応をしたらいいかわからないまま、何となく始めた」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、すでに積立NISAを行なっている方に向けて、非課税期間が終了した20年後どのように対応すべきかを取り上げ、元本割れしてしまった場合の考え方や、2024年から始まった新NISAとの関係も併せて解説します。

 

新NISAがはじまったら、つみたてNISA(積立NISA)で運用していた資金はどうなるの?

上記で説明した積立NISAですが、実は2023年で新規の募集が終了しています。代わりに、2024年から新しいNISA制度がスタートしました。

 

新しいNISA制度では、2023年までのNISAと積立NISAを合わせて「新NISA」に一体化。これまでのNISAは新NISAの「成長投資枠」に、積立NISAは新NISAの「つみたて投資枠」に、それぞれ仕組みが引き継がれました。なお、これまでの積立NISAは1年間に投資できる上限が40万円まででしたが、新NISAのつみたて投資枠では年間120万円に拡大。さらに、つみたて投資枠と成長投資枠の併用も可能になりました。

 

新NISAが始まったことにより、これまで積立NISAで積み立てていた資金は一体どうなるのか、気になるところでしょう。

 

2024年からは新規で積立NISAを始めることはできません。しかし、2023年までに積立NISAの口座で購入していた投資信託やETFは、そのまま20年間非課税で運用できます。

 

例えば、2021年に積立NISAの口座で購入した投資信託は、20年後の2040年まで引き続き非課税運用が可能です。もちろん、2040年になる前に引き出すこともできます。

 

これまでの積立NISAから新NISAのつみたて投資枠へ、おおまかな制度の仕組みは引き継がれますが、運用している資産が引き継がれるわけではありません。これまでの積立NISAで運用している資産と新NISAに投資する資産は、それぞれ別の口座で運用されます。

 

 

つみたてNISA(積立NISA)、非課税期間が終わった20年後はどう対応する?

積立NISAで購入した金融商品は、今後も引き続き20年間は非課税で運用できることがわかりました。では、20年経ったらどのように対応すれば良いのでしょうか。

 

ここからは、積立NISAの非課税期間が終わる20年後に採り得る選択肢を3つ紹介していきます。

 

資産を特定口座や一般口座に移して運用する

まず、資産を特定口座や一般口座に移して、引き続き運用を続ける選択肢があります。

 

特定口座や一般口座は課税口座ですが、20年の非課税期間中に得た利益については税が課されません。例えば、積立NISA口座で投資信託を40万円購入し、20年後50万円になっていた場合、その50万円を特定口座や一般口座に移しても、得た利益の10万円には税金がかからないのです。

 

ただし、特定口座や一般口座に移す時点での残高が基準となり、そこから評価額が増えた分は課税対象となってしまうことに注意してください。口座を移すタイミングで元本割れしていた場合、損してしまう可能性があります。

 

具体的に、積立NISA口座で投資信託を40万円購入したものの、20年後に元本割れして30万円になってしまった例を考えてみましょう。その30万円を特定口座または一般口座に移して引き続き運用した結果、評価額がもとの40万円にまで回復。そこで売却したのですが、課税口座に移した時点での評価額が30万円だったことから、差額の10万円に税金がかかってしまいました。実際にはまったく利益が出ていないのに税金だけ引かれ、かえって損してしまう結果になったのです。

 

資産を売却して現金化する

次に考えられるのが、資産を売却して現金化してしまう選択肢です。

 

積立NISAの非課税期間は20年間ですが、「積立NISAで運用した結果、十分満足のいく利益が出た」「目標の金額を達成できた」という場合、必ずしも20年待ち続ける必要はありません。20年以内であれば、いつでも非課税で売却できます。

 

ただし、積立NISAは長期保有で資産をじっくり増やすための制度とされ、購入できる商品も、長期間積み立てて運用するのに適した投資信託やETFに限られています。

 

もちろん、1~2年だけ運用して売却することもできますが、ある程度時間をかけて運用したほうが、資産を増やしやすいと考えられるでしょう。15~20年後を目安に、売却タイミングを検討することをおすすめします。

 

売却した資産をiDeCoに移して運用する

さらに、いったん資産を売却することが前提となりますが、積立NISAと同じく運用益が非課税となる制度「iDeCo(個人型確定拠出年金)」に資産を移し替えて運用を続ける選択肢もあります。

 

iDeCoとは、公的年金とは別に老後受け取れる私的年金のこと。現役時代に自分で資産を積み立てて運用し、60歳以降に受け取ります。iDeCoも積立NISAと同じく、運用して得た利益に税金がかからないため、積立NISAの非課税期間が終了したらiDeCoに移行するのもおすすめです。

 

注意していただきたいのは、iDeCoで積み立てた資産は原則60歳になるまで引き出せないということです。60歳になる前に売却する可能性がある場合、iDeCoに資産を移すのはやめておきましょう。

 

 

つみたてNISA(積立NISA)が20年後のタイミングで暴落!こんなときどうする?

積立NISAの非課税期間が終了したあと、順調に利益が出ているのであれば、売却して現金化しても良いですし、課税口座やiDeCoに資産を移して運用を続けるのもよいでしょう。

 

では、非課税期間が終わった20年後のタイミングで資産が暴落し元本割れしていた場合、どのような対応を取るべきなのでしょうか。

 

結論からいいますと、売却せず課税口座に資産を移し、そのまま運用を続けていくことをおすすめします。

 

世界で大きな出来事が起こると、市場の相場は大きく変動します。近年だと、コロナショックやロシアによるウクライナ侵攻によって市場が暴落しました。

 

しかし、この暴落がいつまでも続くわけではありません。下記のグラフは、米国の株式市場の動きを知るうえで指標となる代表的な指数の一つ「S&P500」の過去数十年の推移を示しています(2024年3月26日時点)。

 

引用:Googleファイナンス S&P500
引用:Googleファイナンス S&P500

 

グラフを見てわかるように、市場は大きな出来事が起こると時々暴落しますが、のちに回復し、数十年単位で見ると右肩上がりに上昇しています。暴落し続けて二度と戻らない市場は、過去にはないのです。

 

非課税期間が終わったタイミングで資産が暴落しても、それは一時的なものと考え、課税口座に移して運用し、回復を待つとよいでしょう。

 

ただし、上記のグラフはあくまでも過去の実績にすぎません。今後も「暴落相場は必ず回復する」と確証できるわけではないことを覚えておいてください。

 

 

つみたてNISA(積立NISA)を使った資産形成の考え方

積立NISAが暴落した際の対応について解説してきましたが、やはり資産が暴落すると不安になってしまうものです。そんな不安を少しでも減らせるよう、積立NISAで資産形成を行なううえで押さえておきたい考え方について解説します。

 

投資の目的と投資期間を考える

老後の生活費、子どもの教育費、住宅費用など、投資の目的は人それぞれです。まず投資する目的を決めることで、いつまでにいくらお金を増やすべきかわかります。

 

投資する期間と目標金額がわかったら、毎月の積立金額を決め、投資する商品を選んでシミュレーションしましょう。シミュレーションの結果、積立NISAでは足りないこともあります。その場合は、他の投資方法と組み合わせましょう。

 

相場変動に振り回されない

「価格が安いときに買って、価格が高いときに売る」ことができれば資産を増やせますが、実際、将来の相場を正確に予想することは誰にもできません。「あのとき買わなければ良かった」「これ以上下がるのが怖くて売ってしまったけど、様子を見ておけば良かった」など、どのような行動を取っても後悔してしまうことはあるでしょう。

 

積立NISAは、金融商品の値動きにかかわらず、毎月同じ日に同じ金額だけ購入して積み立てていきます。この仕組みなら、自然と価格が下がっているときに多く購入して、価格が高いときは少なく買えることになります。この仕組みを「ドル・コスト平均法」といいます。

 

ドル・コスト平均法であれば、価格が上昇しようが下落しようがやることは同じですから、相場変動に振り回されずじっくり投資を続けることができるでしょう。

 

分散投資でリスクを分散

長期でじっくり資産を増やしたいなら、さまざまな金融商品に分散投資することをおすすめします。1つの商品だけに投資していると、その商品が暴落した際のリスクが大きくなります。資産の投資先を分散することで、値下がりのリスクが軽減されるでしょう。

 

国内株式が入ったファンドだけでなく、海外株式が含まれるファンドや、債券、不動産などへの投資も検討してみるとよいでしょう。

 

 

投資初心者には不動産投資クラウドファンディングもおすすめ!

積立NISAは投資初心者が資産形成をするのに適した制度ですが、投資の目的によっては積立NISAだけでは足りない場合があります。また、長期・分散投資の視点で考えると、性質が異なる値動きの小さい投資先を組み合わせるべきでしょう。

 

そこで検討したいのが、不動産投資クラウドファンディングです。不動産投資クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの投資家から資金を集め、それをもとに事業者が不動産投資を行ない、得られた利益を出資者に還元する仕組みです。

 

従来の不動産投資は、不動産を購入するためにまとまったお金が必要で、不動産の管理などもしなければならないため、初心者にはハードルが高いものでした。不動産投資クラウドファンディングなら少額から投資ができ、不動産の管理の手間もありません。積立NISAと同様、投資初心者にもおすすめできる投資方法といえるでしょう。

 

 

不動産投資クラウドファンディングなら「COZUCHI」がおすすめ

不動産投資クラウドファンディングサービスの一つに「COZUCHI」があります。COZUCHIは投資初心者へおすすめです。その理由は以下のとおりです。

 

初心者でも少額から不動産投資ができる

COZUCHIは、本来なら莫大な元手が必要な都心の一等地の物件にも1万円からと、少額で投資をすることができます。

 

また物件の管理や運用はプロがやってくれるため、投資家はファンドを選んで投資するだけ。ほったらかし運用ができ、忙しい人にもおすすめです。

 

リスクを抑える優先劣後構造

COZUCHIの短期運用型では、物件の評価額を投資家が出資する優先出資部分と事業者が出資する劣後出資部分に分ける「優先劣後制度」を採用しています。元本割れした場合は劣後出資部分から毀損していく仕組みで、劣後出資部分がすべて毀損するまで、優先出資部分は毀損しないようになっています。

 

このような投資家を守る仕組みやプロによる運用などによる結果、サービス開始からこれまでの元本毀損はゼロ。累計投資額約786億円(2024年8月末時点)※の実績を誇ります。

 

 

まとめ

積立NISAの非課税期間が終わった20年後、どのように対応すべきか解説してきました。売却して現金化する方法や、課税口座やiDeCoに資産を移して引き続き運用する方法があります。投資の目的や運用状況、20年後のご自身の年齢などを考慮して選ぶようにしてください。

 

積立NISAに限らず、本記事で紹介した不動産投資クラウドファンディングなども検討し、自分に合った投資方法を見つけましょう。

 

【執筆者】

氏名:齋藤 彩(さいとう あや)

所有資格:CFP(Certified Financial Planner)、薬剤師免許

おもなキャリア:急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。

 

 

※本記事は「COZUCHI magazineで、2024年04月03日に公開された記事の転載です。