食べたいものは「体が欲しているもの」と考える。食べられるうちに好きに食べよう

人間がおいしいと感じるものとは、甘いものや脂肪分があるもの、うまみ成分(アミノ酸)が含まれているものなどです。なぜ、人間がそれらをおいしく感じるのかというと、生物進化の過程で「体に必要なものをおいしく感じるように進化」したからです。


例えば、甘いものに多く含まれるブドウ糖がなくなれば、脳が働かなくなり、生命活動は止まってしまいます。その意味で、体にとって糖分は最も大切な栄養素といえるでしょう。脂肪は体を動かすエネルギーとして欠かせません。細胞膜の生成や修復にも使われています。たんぱく質はアミノ酸に分解され、筋肉や皮膚、臓器の材料にもなります。


「今日は肉が食べたい」「甘いものが食べたい」と感じるのは、体がその栄養素を欲しているからなのです。高齢になればなるほど、「粗食であるほうが健康的に生きられる」として、玄米一食にしたり、菜食に切り替えたりする方も少なくありません。


肥満は抑えられるでしょうが、そんな低カロリー、低栄養、低脂肪の食事を続けていると、老化のスピードは加速します。食べることは人生における大きな楽しみです。節制しすぎて、食事への興味が失われてしまうと、肉体的にも精神的にも老けてしまいます。


もちろん毎日とは言いませんが、おいしいものを食べて、幸せな気持ちになるだけでも前頭葉には良い刺激になり、健康には良いのです。ですから、体の声を聞いて食べたいものを食べる機会を積極的に設けるべきでしょう。


いわゆる「グルメな人」は、脳が若々しいのか、元気な印象があります。健康のために我慢して好きではない物を食べるよりは、なるべく自分の好きな物を食べて、脳にも体にもきちんと栄養を与えることが、アンチエイジングにつながります。