歳を重ねてからの食事制限やダイエットは、気をつけるべき。寿命を削る危険も

太っている中高年から高齢の人は生活習慣病になりやすいといわれ、「ちょっと痩せないと」と普段から思っているかと思います。歳を重ねると代謝が下がり、なかなか痩せづらくもなるので、一念発起してダイエット、もしくは食事制限を……と考えたくもなりますが、特に高齢の方のダイエットは気をつけるべきです。


中高年の健康管理の指標の一つとして定着しているのが「BMI」です。体重〈kg〉÷身長〈m〉÷身長〈m〉という式で割り出される世界共通の指標です。多くの場合、BMIの数値が、WHO(世界保健機関)による「普通」の基準となる18.5〜25の間に収まるのが健康と考えられています。


ところが、いざ統計データを見てみると、実はBMI25を超えた人のほうが、長生きする傾向がわかっています。2009年に日本で発表された研究結果では、40歳時点の平均余命が最も長かったのは、男女ともにBMI25〜30の人でした。


一方、最も平均余命が短かったのは、BMI18.5未満(やせ型)の人でした。両者の間の平均余命を比較すると、男女ともにBMIが高い人のほうが6〜7年ほど長生きすることがわかっています。多少、気をつけたいのはBMIが35以上の高度肥満と呼ばれる方々ですが、それよりやせ型の人のほうが短命傾向です。そして、「小太り」くらいの人のほうは、長生きする傾向なのです。


ですから、体形が多少気になるくらいの方は、過激なダイエットをして「痩せないとダメだ」と強迫観念に駆られるのは危険です。逆に歳を重ねて食が細くなってきたな、だいぶ痩せてしまったなと思う人のほうが心配なくらいなのです。