「愛しい娘と孫のためならなんでもしてあげたい」と、娘夫婦と仲睦まじい関係を続けてきた69歳のA夫婦。しかし、ひとり娘からの「とんでもないお願い」に仰天。牧野FP事務所の牧野寿和CFPは、A夫婦にどのような助言を行ったのでしょうか。みていきましょう。
パパ、実は相談があって…年金月24万円・69歳仲良し夫婦の“穏やかな老後”を奪い去った、愛する娘からの「まさかのひと言」【CFPの助言】
後日談
数週間後、再びA夫婦が筆者のもとを訪れ、その後について話をしてくれました。
筆者の助言どおり、A夫婦はCさんに事情を話したところ、Cさんはショックを受けながらもしぶしぶ納得。その後しばらくして、Cさん一家が、今度は夫を連れた3人で、A夫婦のところに遊びに来ました。そして、次のような会話があったそうです。
Eさん「このたびは大変ご迷惑をおかけしました。Dは公立の小学校に進学させます。僕も妻の熱気に押され、両親に援助してほしい旨を話しに行ったのですが、『そこまでの持ち合わせはない。現実を見ろ』と、あっさり断られてしまいまして」
Cさん「Eの大学の同級生がね、小さい子を対象にした理科実験教室を開いていて。月謝はそこまで高くないんだけど、Dと見学に行ったら、すごくよくて。Dも気に入ったみたいだから、お受験の代わりとまではいかないけど、そこに通わせることにしたの。そのお金は私がパートで稼ぐから、ママとパパは心配しないで。あとね、Dが小学校に上がったら、フルタイムで働こうと思ってる」
A夫婦は、愛する娘とケンカになるかもしれないと不安でしたが、心底ほっとしたそうです。
Aさんは筆者に、一連の話をしたあと、「今回はなんとかなりましたが、中学受験をさせたいと言い出したらどうしたらいいですかね? そのときまでには300万円くらいは貯まっているとは思うけれど……」と尋ねます。
筆者は、「小学校受験までは親の意思の影響が大きいですが、中学校以降の受験については、お孫さん本人の意思をまず尊重すべきでしょう」と答えました。
孫の教育費用を祖父母が援助する場合、あくまでもA夫婦自身の生活が成り立つ程度が限度額です。いくら子どもや孫が可愛くても、自分たちの生活を犠牲にすることなく、「余裕があれば援助する」という気持ちでいたほうが、のちのち子どもや孫に迷惑をかけることなく暮らすことができるでしょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員