「愛しい娘と孫のためならなんでもしてあげたい」と、娘夫婦と仲睦まじい関係を続けてきた69歳のA夫婦。しかし、ひとり娘からの「とんでもないお願い」に仰天。牧野FP事務所の牧野寿和CFPは、A夫婦にどのような助言を行ったのでしょうか。みていきましょう。
パパ、実は相談があって…年金月24万円・69歳仲良し夫婦の“穏やかな老後”を奪い去った、愛する娘からの「まさかのひと言」【CFPの助言】
A夫婦が驚愕した、ひとり娘の“夢物語”
現在4歳のDくんは、Cさんの自宅にほど近い私立幼稚園に通っています。「近いし枠が空いているから」とよく調べることなく入園させたのですが、仲良くなったママ友に話を聞くと、「卒園児の大半は、私立小学校に入学する」といいます。
他のママ友たちからも話を聞くにつれ、すっかり感化されたCさんは、Dくんも私立に通わせたいと思うようになったそうです。
C「パパ、私立ってすごくいいらしいのよ。いまの幼稚園の環境も素晴らしいし、できればDをエスカレーター式で小学校から大学まで通わせて、質のいい教育を受けさせたいの。でも、Eの稼ぎだけじゃどうにも無理そうで……お願いパパ、Dのためにお金を出してくれない?」
A「うーん……Eくんはなんて言ってるのかな?」
C「それが、『私立は魅力的だけど、身の丈にあった教育を受けさせるべきだと思う』って言うの! Eは地頭がいいからずっと公立でなんとかなったのかもしれないけど……。Dの将来の可能性が狭まるかもしれないって説得してるんだけど、聞き入れてくれないのよ」
A「……お金はどのくらいかかるんだ?」
C「受験にかかる費用はもちろん私たちで用意するんだけど、『お受験』まであと2年でしょ。塾に通うと1年間で100万円くらいかかるみたいだから、2年で200万円。それと、小学校からの学費もできたら半分くらいはサポートしてほしいかな。
あとね、お受験がうまくいくには親の人間関係がカギで、ママ友のランチ会や子どもの誕生日会に参加するのも重要みたいで。いいとこのレストランだし普段着では行けないから、毎月数万円はかかると思うの。パートに出ることも考えたけど、けっこう頻繁に集まりがあるから、時間が制限されちゃうしあんまり意味ないと思ってて」
Bさんがつい「待って。お洋服代も私たちに出せっていうの?」と口を挟むと、Cさんは「だって、なんとかしてお受験に受かってくれないと意味がないじゃない!」と語気を強めます。
A夫婦は、娘の突然の相談に驚愕。これまで、愛する娘の願いは可能な限り叶えてきたつもりでしたが、ここまでの大金を援助して欲しいと言われたことはありません。
翌日2人を送ったあと、夫婦で夜中までどうすべきか話し合いましたが、なかなか結論を導くことができませんでした。そこで、第三者の意見が聞きたいと、夫婦は知り合いのファイナンシャルプランナーである筆者のもとを訪れました。