祖父母の立場であれば、我が子や孫が頼ってきたら「できるだけのことをしてあげたい」と思うものです。しかし、それが行き過ぎると、自分たちの生活が成り立たなくなるリスクがあります。今回は、穏やかに年金生活を送っていたAさん夫妻(仮名)が直面した「孫育て問題」を例に、老後の暮らしと子ども・孫への援助について井戸美枝CFPが解説します。
この「孫育て」、いつまで続くのか…年金月25万円・平穏に暮らす夫婦の生活が“娘一家の引越し”で一変。疲労困憊の日々に「こんな老後のはずでは」【CFPの助言】
無理して援助する必要はない。「できる範囲内で」が基本
Aさん夫妻のように、退職後は収入源が年金だけになる世帯も多いはず。無計画に資産を使ってしまうと、家計の立て直しが困難になってしまいます。何度も述べてきましたが、まずは自身の健康と経済的な余裕を最優先させましょう。若い世帯であれば、働いたり、資産運用する時間もあり、仮に何らかの失敗があったとしても、それを取り戻す機会はあるでしょう。
少子化の影響で、子ども1人あたりに使う教育費は増えているというデータもあります。周りの親世帯が多額の援助をしているのを目にすることもあるかもしれません。が、そういった状況に流されず、あくまでも援助はできる範囲内で行うといった原則を作ることが大切です。援助してくれる人がいる、というだけでも子どもの世帯には精神的な支えとなるはずです。
孫や子どもへの援助が、自分の老後資金に見合っていないと感じている場合は、少しずつでも援助額を減らしていきましょう。
執筆/瀧 健
ファイナンシャル・ライター
監修/井戸 美枝
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)