現代を生きる日本人は、約2割が自立した状態で「100歳」を迎えます。それは裏を返せば残り8割は、誰かの助けを必要とする状態で100歳を迎えることを意味します。しかも、これから100歳を超えて生きる人の割合は増えると予想されています。では、この「超寿命化」の日本で健康に生きるためには、どのような生活を心がけるべきなのでしょうか。本記事では老年心理学者の権藤恭之氏による著書『100歳は世界をどう見ているのか』(ポプラ社)から一部抜粋して、健康長寿の秘訣についてご紹介します。
100歳を超えて生きる「超寿命化」は今後さらに進む…長い人生を健康に生きるための戦略とは【老年学の権威が解説】
百寿者は「誠実性」が高い
なかなか難しいものですが、私たちの研究では自己修練のできやすい人が長寿であるという結果が出ています。人の性格傾向の調べ方はいろいろありますが、最近は「ビッグ5」という、人間の性格を開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症的傾向(情緒安定性)の5つの側面からとらえる方法が最もよく使われます。
その中で、自己修練と関連するのは「誠実性」と呼ばれる側面です。百寿者の人たちの性格を調べたら、この誠実性が高いことがわかりました。誠実性の高さは、責任感の高さや勤勉さを意味します。簡単にいえば、責任を持って物事をきっちり計画的にこなせるかどうか、まさに自己修練ができるかどうかを測る側面です。
そのような性格傾向が長生きと関連するという結果は、私たちが行った別の研究でも示されていますし、世界的にも多くの研究で支持されています。誠実性の高い人は、健康にとって害になるようなことをしませんし、健康的な行動を自然と維持できます。自然とそのようにできる人は、結果として長寿になるのです。
老年心理学者
権藤 恭之