現代を生きる日本人は、約2割が自立した状態で「100歳」を迎えます。それは裏を返せば残り8割は、誰かの助けを必要とする状態で100歳を迎えることを意味します。しかも、これから100歳を超えて生きる人の割合は増えると予想されています。では、この「超寿命化」の日本で健康に生きるためには、どのような生活を心がけるべきなのでしょうか。本記事では老年心理学者の権藤恭之氏による著書『100歳は世界をどう見ているのか』(ポプラ社)から一部抜粋して、健康長寿の秘訣についてご紹介します。
100歳を超えて生きる「超寿命化」は今後さらに進む…長い人生を健康に生きるための戦略とは【老年学の権威が解説】
「飲酒・喫煙」は長生きにどう影響する?
お酒に関しては、よい効果があるとする研究と悪い効果があるとする研究に分かれるなど諸説ありますが、東京百寿者研究(2000〜2003年調査)の結果は興味深いものでした。
細かい年齢までは確かめられませんが、この研究では参加者に「過去の飲酒」「喫煙習慣の有無」を尋ねています。
比較対象として、1976年に東京都老人総合研究所が小金井市で同世代を対象に実施した調査の飲酒喫煙率と比べたところ、飲酒に関しては、男女とも小金井市の結果とほぼ同じ割合でしたが、喫煙に関しては割合に違いが見られました。
1976年には男性約8割、女性の約3割に喫煙経験がありましたが、百寿者は男性約4割、女性約1割といずれも喫煙者の割合が半分以下だったのです。
さらに、百寿者の過去の飲酒と喫煙経験と自立の関係を分析すると、喫煙経験がある人はない人に比べて自立度が低かったのです。つまり、たばこを吸っていても長生きはできるかもしれませんが、健康に長生きできない可能性が高くなるのです。
この結果を見て、お酒はいいのかと思い、私はお酒肯定派になりました。ただ、少量のお酒肯定派でいればよかったのですが、大肯定派になってしまい反省しています。この原稿を書いている今、私は必死で減酒とダイエットに取り組んでいます。
10年前に1年断酒したことがありますが、その時の体調はすこぶるよかったです。今となると、自分自身で分析したこの結果を少しばかり恨んでいます。自己修練は難しいものです。