同居する母親が「要介護」になった55歳・独身サラリーマン

大輔さん(仮名)は現在55歳、独身のサラリーマンです。地方都市の戸建住宅に87歳の母親と2人で暮らしています。大輔さんの父親は、地元の市役所に定年まで勤めて、25年前に突然、心筋梗塞で亡くなりました。

当時、都内の総合商社に勤めていたひとり息子の大輔さんは、母親を一人で住まわせることは心配だと、30歳でUターン転職をして実家に戻ってきました。

現在、大輔さんの年収は450万円。母親は遺族厚生年金を受給しており、さらに夫の死亡保険金や貯蓄もあったため、母子が生活に困ることはありませんでした。

しかし、最近の大輔さんは、仕事と介護の両立に疲弊しきっています。

なぜなら半年前、母親が夜中トイレに起きたとき転倒して右足を骨折、要介護の状態となってしまい、大輔さんは会社に行っているとき以外、四六時中母親の世話をしているからです。

近くに住む父方の叔母は、「たった2人の家族なんだから。あんたが世話しなきゃどうするの」と、無責任な正義を振りかざしては帰っていきます。

大輔さんは、仕事を辞めるか悩むところまで追いつめられていました。そんな時、母親から「仕事だけはやめるんじゃない。私のことは大丈夫だから。施設にでもなんでもいれてあんたは自由に生きておくれ」と言われ、思わず涙。

「このままじゃだめだ……潰れてしまう」心身ともに限界を迎えつつあった大輔さんは、金銭的に無理のない範囲で、施設を活用した介護ができないかどうか調べ、会社の同僚にも相談を持ちかけました。

そんな折、相談した会社の同僚に「俺が前に似たような状況になったときに相談に乗ってもらった」と紹介された、FPである筆者のもとを訪れたのです。