中高齢になると考え始めてしまうのが、高齢になった両親の健康面。Uターン転職や、場合によっては介護離職を選択する人も。しかし、待ち受ける介護や年金生活を前に、両親のことだけでなく自身のライフプランについても見通しを立てることが大切です。介護にかかる費用や日本の介護の現状について、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。
あんたが世話しなきゃ…親戚の“無責任な正義”で心身ともにボロボロの年収450万円・55歳独身サラリーマン、87歳母からの「ひと言」に涙したワケ【CFPの助言】
大輔さんの母の介護費用はいくら必要?
要介護2※に認定された大輔さんの母親は、担当のケアマネージャーに退院後のケアプランを作ってもらいました。
※要介護2とは、食事や排せつなどはひとりでできる。しかし自分だけで立ったり、歩いたりするのが困難。爪切り、着替え、立ち上がり、歩行などに介助が必要な状態。
そのプランによると、実家に戻った母親は、平日は主に機能回復のために通所リハビリテーション(デイケア)に通い、医師の指示のもと、リハビリの専門職による機能訓練や入浴、食事の世話を施設に通って受けることになっていました。施設までは送迎車があるようです。
また、自宅で使う車いすや介護ベッド、四脚杖などの福祉用具もレンタルし、毎月の自己負担額は、施設での昼食代を除いて毎月約1万8,000円でした。
費用負担を心配した大輔さんは、毎日の朝食と夕食、平日の夜間や土曜、日曜の母親の世話は自分ですることにしたのです。
金銭的な問題だけではない…「要介護者」の母を持つ大輔さんの悩み
「母親は、骨折する前より物忘れがひどくなったようで、認知症や年齢からも身体の衰えが心配です。僕も休める時間がなく、心身ともにボロボロです。会社を辞めたらどんな生活になるんでしょうね?」と大輔さんは言います。
筆者が見ても、大輔さんは疲労困憊のようです。
とはいうものの、今後母親の要介護度が上がって介護費用がさらに必要になり、看護の費用も必要になったとしても、出費が現在母親の受給している遺族厚生年金199万円(月額16万5,000円)内に収まるか、また約2,000万円の貯蓄があり、それを効率的に取崩していくことができれば、母親の家計に心配はいりません。
今後、施設に入所したとしても同様です。
なお、厚生労働省「介護サービス概算料金の試算」から、要支援要介護ごとに選択したサービスに応じた、居所や施設に入居したときの毎月の費用概算が試算できます。