まさかの「胃がん」発覚。基本給が低く保険も未加入で不安が襲い掛かる

石丸さんの生活は、胃がんの診断を受けたことで一変しました。手術は無事に終わりましたが長期療養が必要となり、仕事への影響は避けられません。中古車販売の営業職としてそれなりの収入はありましたが、石丸さんの収入の大部分は営業インセンティブによるものでした。基本給は低く設定されており、残業や休日出勤をこなし、さらに営業成績を上げることで、それなりに余裕のある家計を維持していたのです。

しかし、療養期間中は、そのような働き方は到底不可能ですし、完全に本調子に戻るには時間が必要です。「このままでは、収入がかなり減ってしまいそうだ……」石丸さんは不安に駆られました。住宅ローンの返済、子どもたちの教育費、日々の生活費。これらの支出はこの先も変わらず続きます。

そんななか、石丸さんは自分の投資状況を改めて確認しました。新NISAの成長投資枠で購入した投資信託は、240万円で買ったものが200万円まで下落していました。「増えることしか考えていなかった…このタイミングで売ったら損しただけになってしまう」と、売却の踏ん切りも尽きません。

つみたて投資枠で毎月10万円積み立てている世界株投信も、思うような成果が出ていません。iDeCoの毎月2万3千円の掛け金も、今の状況では大きな負担に感じられました。

投資を始めたときの高揚感は影を潜め、代わりに後悔の念が湧き上がります。「今はこの程度でも、この先もっともっと減るかもしれない」「保険をしっかりかけておくべきだったのかも」「貯金をもっと残しておくべきだった」……様々な思いが石丸さんの頭のなかを駆け巡ります。

妻は近隣のスーパーマーケットで事務職として働いていますが、その収入だけでは家計を支えきれません。「最悪の場合、家を売らなければならないかもしれない」という現実が、石丸さんの心に重くのしかかります。