うまく雑談できるようになりたいですよね。一般社団法人日本聴き方協会代表理事の松橋良紀氏は、著書『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』の中で雑談できる人とできない人の違いを取り上げています。それは一体どんなものでしょうか?本書から詳しく紹介します。
うまく雑談できる人は 「あなたはどう?」と聞き、できない人は 「私は」と自分の話をする。
まずは雑談が下手な人のパターンを紹介します。
相手「最近、浅草に行ったんだよ」
自分「お、私も年に数回は行ってますよ!」
相手「あ、そうなんだ。外国人ばかりですごく混んでたよ!」
自分「そうなんですよ。最近は中国人がたくさん来ていますよね」
相手「そうなんだ。中国の人って写真が好きだよね」
自分「そうそう、先日行ったときなんてすごかったですよ。というのは……」
相手の話に耳を傾けないどころか、話泥棒をしてしまったりします。逆に雑談が上手い人は、相手が何に興味を持っているかに興味を持ちます。
相手「最近、浅草に行ったんだよ」
自分「へえ、どうでした?(何を話したいのかわからないので特定の質問をしない)」
相手「外国人ばかりですごく混んでたよ!」
自分「あー、まるで外国に旅行した気分になりますね……(沈黙して話すのを待つ)」
相手「中国人が多かったね。中国人はパワーがあるね!」
自分「そうですよね、おとなしい日本人に比べて積極的な感じがありますよね」
このように雑談の上手い人は、相手がどんなことを興味があるのかわからないうちに、特定の質問で誘導するようなことをしません。相手の興味を知るまでは、話を狭めずに聞き出します。そして興味や関心の矛先がわかったら、その部分に集中して質問をすることで、話をどんどん深めていきます。
人の話を聞けないのは承認欲求が強すぎるからです。承認欲求は誰でも持っているものですが、それが強すぎると他人の話を聞けなくなります。幼少期に親から充分な愛情を受けられなかった。認めてもらえなかった。否定されてばかりいた。
このように、幼少期に自分の存在を否定されて、軽く扱われて、承認してもらえなかった経験があると、承認欲求が強くなります。愛情が足りないと感じることは、幼い子どもにとって最大の恐怖です。恐怖を取り払うために自分の存在価値を、精一杯アピールする必要が生まれます。それが大人になっても、常に自己アピールをしてしまう原因となります。
幼少期の頃に満たされなかった承認欲求に、振り回され続けない方法はあります。「他人に大事にされていない!」と感じたとしたら、セルフカウンセリングをしてみましょう。「なぜ、相手の言葉や態度に、こんなに感情が揺り動かされるのだろうか?」「自分の悲しみは、どこから来ているのだろうか?」その悲しみや怒りの感情の原点を探っていくと、幼少期に体験した出来事が掘り起こされていくでしょう。
長男長女として生まれたとしたら、弟や妹が生まれてから、自分をないがしろにされた感覚を感じてしまったのかもしれません。次男次女で生まれたとしたら、兄や姉に比べていつもお下がりばかりだとか、自分の意見が通らないなど、自分を大事にしてもらえていない感覚が残っているかもしれません。
その感情を書き出したりすると、自分が封印してきた感情と向き合ううちに、心の癒しが起きて、承認欲求から解放されていきます。他人から満たされるのを待つのではなく、自分で自分を満たすことができるようになると、「あなたはどう?」という言葉がすんなり出てくるようになるでしょう。
【ポイント】
承認欲求と向き合っていくと自然に相手中心の雑談ができるようになります!