うまく雑談できるようになりたいですよね。一般社団法人日本聴き方協会代表理事の松橋良紀氏は、著書『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』の中で雑談できる人とできない人の違いを取り上げています。それは一体どんなものでしょうか?本書から詳しく紹介します。
うまく雑談できる人は 「○ ○ に悩んでいて」と開示し、できない人は 人の話だけを聞く。
人の話をよく聞くし、他人に対しての気遣いもある。それなのにどこか慇懃無礼で、人間関係で壁を感じさせる人。なかなか親密な関係になれない人。こんな人は、何が原因なのでしょう?それは、自己開示が足りないのが理由として考えられます。親密な関係とは、本音を打ち明けたり、弱点や欠点をさらけ出せる状態です。
安心して自分をさらけ出せる関係は、どちらかが自己開示をすることで始まります。しかし、自己開示が苦手だと、なかなか親密な関係にたどり着けません。私が20代の頃、よく言われた言葉があります。「松橋は何を考えているのかよくわからないな」意見を言わず、自分の考えや気持ちを相手に伝えないし、常に会話において受け身でした。ですから、よくわからない人間だと思われていました。
意見を求められたら、曖昧な返答をしてごまかすようにしていましたし、自分のプライベートな情報を他人にはあまり知られたくないという気持ちもありました。私が自己開示が苦手だった理由は、今思えば次の様なことが考えられます。
(1)自己肯定感が低い
当時の私は、自分自身を価値ある存在と感じることがありませんでした。ですから、自分のことを相手に知ってもらうことに抵抗を感じていました。「自分なんて……」という感情が先立ってしまい、自己開示をすることに尻込みしていたことを思い出します。
(2)過去の体験から目立たないようにしたい
学生時代に仲間はずれにされたり、いじめられたり、傷つけられたりした経験がありました。ですから目立たないように自分のことを極力見せないようにしていました。
(3)評価がこわい
私は優等生でしたから、「あいつはしっかりしている」と思われたいという気持ちが強くありました。自分のネガティブな部分を見せることは「弱さ」だととらえていたことも大きいです。「おまえは心が弱いやつだな」「情けないやつだな」と言われてショックだった経験がありました。弱さをみせたことで、からかわれたり、扱いが悪くなったり、怒られたりしたりした経験の影響が大きいです。
では、どうしたらもっと自己開示ができるようになるでしょう?それは経験したこと、体験したことを話すことです。自分が経験したことや体験したことなら、思い出して話すだけです。特に楽しかった体験、落ち込んだ体験は、あなたの価値観を伝える上でとても大きな情報となります。そして自己開示でもっとも有効なのが、悩みを相談することです。
「今までに誰にも言ったことがないんだけど」このキラーフレーズとともに、自分の感情を素直に表現することです。自分の喜びや悲しみの感情についてオープンに話すことで、相手と深い信頼関係が築かれるでしょう。まずは共通の趣味や興味を共有できる相手に、少しずつ自己開示をしてみたらいいでしょう。
やはり、一緒に時間を過ごす時間が長いと、関係が深まりますので、気の合う人がいるコミュニティがあったなら、長期間参加し続けることです。するといろいろ共有できる相手に出会う確率も高まります。そうして信頼できる人ができたら、少しずつ自己開示していくのがおすすめです。
【ポイント】
最高の自己開示は、悩みを相談すること。一気に距離が縮まります!
一般社団法人日本聴き方協会代表理事
松橋良紀