タワマンに限ったことではないですが、南向きと比べると人気が劣る西向きの物件。午後から夕方にかけての強い日差し、窓から入りづらい朝日、床や壁が日焼けしやすいなどといった理由があるようです。しかし、タワマン暮らしを始めたAさん夫婦は、あえての西向きを選びました。一体なぜでしょうか? 本記事では、Aさん夫婦の事例とともに、西向きのタワマンについて社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
意外に快適です…年収3,000万円・貯金3億円の60代夫婦「あえて西向きタワマン」を選んだ理由【FPが解説】
高所得サラリーマンがセカンドライフに選んだ住まい
タワマンとは、基本的に集合住宅としてつくられた20階以上の高層建築物のものをいいます。人気のエリアに存する都内のタワマンは、眺望や共有施設の充実など、多くの人が一度は住んでみたいと憧れる、一定のステータスがあります。
エリートサラリーマンだった60代のAさん。定年前に大企業の役員となり、年収は3,000万円となりました。子育ても終わり、貯蓄もコツコツ資産運用したのを含め3億円に。老後の年金は夫婦で343万円、月額28万5,000円です。日常生活は年金だけで賄えそうです。
Aさんは老後に向けて、タワマンを購入しました。
タワマンに限らず一般的にマンション購入にあたっては、階や方角によって金額はまちまちです。特にタワマンは、眺望のよく明るい南向きが人気で、価格も比較的高く設定されています。Aさんの蓄えなら、高価格帯の物件も購入できそうですが、Aさん夫婦が選んだのは、あえての西向き。いったいなぜでしょうか?
今回、タワマンを購入しようとしたのは、定年間近になってセカンドライフを夫婦どのように過ごそうかと話し合ったことが、きっかけでした。一人息子は独立し、大企業に就職、結婚。現在は一家で海外赴任中です。
Aさん夫婦は温泉旅行が好きで、海外よりも日本国内の温泉地めぐりをするのが楽しみとなっています。これまでの日常は、収入の割に浪費も行わない生活を送っていたため、マンションも中古で管理人が常駐していない物件でした。
ところが、住んでいたマンションに空き巣が入ったことを聞き、不安になったAさんは自宅を調べたところ、見知らぬ人がインターホンを鳴らしていることが発覚します。さらに不安になったAさん。高齢者を狙った犯罪も増えていることから、セキュリティー対策がしっかりしているところを探そうとしていたところ、共用施設・周辺施設も充実しているタワマンにいきついたのです。