気象庁から10年に1度の酷暑を警戒するよう発表がありました。日中の暑さはいわずもがな、今年の夏は夜も暑い! 寝苦しい夜にストレスを感じる人も多いでしょう。ここで心配となるのが、睡眠負債です。睡眠負債とは、毎日少しずつ積み重なる睡眠不足のこと。睡眠負債は心身ともに不調を招く原因となるため、睡眠の改善は社会議題としても注視されています。こうした背景から医療機器メーカーだけでなく、さまざまな企業がスリープテックに参入し、市場規模が拡大しています。今回は最新のスリープテックをみていきましょう。
10年に1度の酷暑も快眠で元気に乗り切る!寝苦しい夜を脱却する「スリープテック」 (※写真はイメージです/PIXTA)

 ※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

 

睡眠不足が与える経済損失は15兆円

経済協力開発機構(OECD)が2021年に発表したデータによると、先進国33カ国のなかで平均睡眠時間が最も短い国は日本で、1日あたり7時間22分。特に女性のほうが男性よりも平均13分短いようです。

 

寝食を忘れて労働に励むことが美徳とされた時代もありましたが、日本人の睡眠不足が与える経済損失は年間約15兆円におよぶとの試算があり、睡眠不足は社会全体で取り組んでいかなければならない課題です。また厚生労働省は「健康づくりのための睡眠ガイド2023」で、「適正な睡眠時間の確保」と「睡眠休養感の向上」がすべての国民が取り組むべき重要課題だとの見解を示しました。

 

日本人の睡眠時間が短い理由には、睡眠に対する意識の低さやパソコン・スマートフォンの普及による夜型生活の加速などが挙げられます。特に夏場は寝苦しい夜が続き、睡眠の質の低下が懸念されます。そこで良質な睡眠を実現するための助けとなる、さまざまなテックや企業の取り組みをご紹介しましょう。

 

ウェアラブルデバイスで詳細な睡眠データの収集・分析が可能に

(株式会社S’UIMIN提供)
[図表1]InSomnograf (株式会社S’UIMIN提供)

 

筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構を母体とするスタートアップ企業「株式会社S’UIMIN」は、脳波測定ウェアラブルデバイス※とAIを駆使した睡眠測定サービス「InSomnograf(インソムノグラフ)」を提供。

 

※手首や腕、頭などに装着するコンピューターデバイスのこと

 

睡眠時に装着した電極から得た睡眠データをAIが解析し、高精度で可視化します。また脳波による睡眠計測だけでなく、医師の評価やアドバイスとレポート、睡眠改善アドバイスがもらえるサービスも。

 

脳波測定に使用するウェアラブルデバイスは簡単に装着できるため、自宅などあらゆる場所で睡眠の質をはかることができるのが特徴。詳細な睡眠の質や睡眠障害リスクを手軽に知ることができ、企業の健康診断にも取り入れられ始めています。