為時はもう「まひろ」についていけない!?

――まひろのことば「学問が私を不幸にしたことはございませぬ」について

「学問が私を不幸にしたことはない」というのは、言うなれば為時にとってはものすごい誉めことばなんですよね。自分が学問の世界にいて、それをいつの間にか伝授してしまっていて、そこにのめり込むまひろがいて。でもそれで不幸だと思ったことはない。

それはイコール為時にとっては、本当に親孝行なことばであって、うれしいことばであって、でも家族を築くとかいうことに関して、まだまひろにやらせてあげられていないことは、たぶんいっぱいあって。そこに関しては、為時自身は学問に集中させたこと、文学の世界に集中させたことを、おそらく後悔していると思うんですね。

でもまひろは、これからこの作品、紫式部へとなっていく。グーッと坂道を上がっていくまひろの物語としては、そんなことに目もくれず、「学問が私を不幸にしたことはない」と言い切れる、ますますのめり込んでいく紫式部になっていくと。だから、もうお父さんちょっとついていけないです(笑)。「ごめんね」っていう気持ちだけですね。

(C)NHK
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『光る君へ』

『光る君へ』は、平安時代中期の貴族社会を舞台に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。のちの紫式部であるまひろが、藤原道長への思い、そして秘めた情熱とたぐいまれな想像力で「光源氏=光る君」のストーリーを紡いでゆく姿を描く。脚本を手掛けるのは、『セカンドバージン』や『知らなくていいコト』『恋する母たち』などで知られる大石静さんで、今回が2度目の大河ドラマ執筆となる。

THE GOLD 60編集部