大宰府にいる隆家は「こうなりたかった自分」?

――大宰府へ行って

危機的な状況に対しても、自分たちの手を汚してまで、自ら行動して何かをするっていうことは、してこなかった人たちが、やっぱり周りには多いので。身を粉にして泥にまみれながら戦うといいますか、働くといいますかね。

そういう人たちにやっぱり出会えなかったし、きっと彼は出会いたかったんだろうし、そういう部分では、大宰府にいる隆家っていうのは、本来こうなりたかった自分の像に近いんじゃないかなというのは思いますね。

だからかこんな、ひげもじゃスタイルにも、ちょっと武将っぽい感じになったりもしていますけれど。これがね、きっと内裏に戻ったりとか、内裏にいる貴族のみなさんとかと会ったら、全然さらに浮くような感じになるんだろうなとは、それが逆にいいなとは思っていますけどね。

ただ、生きづらいですよね(笑)。でも、これからきっとそういう世の中になっていく。いわゆる戦国の世になる、もっともっと前の段階ですけれど。ちょっと見える瞬間の、最初の瞬間なんじゃないかなっていうのは感じますね。

(C)NHK提供
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貴族だけれど「武人」…刀伊の入寇で指揮を執る隆家の“胸中”とは

――刀伊の入寇で指揮を執る隆家

隆家自身、やっぱり初めてのことというか、戸惑いだったりとか動揺っていうのは、もちろんある中で、彼の中でどういうふうに今ある現実を受け止めながら打破していこうかなっていうのが、彼の中の、貴族なんだけれど武人のような、そういうものが何か光ったんじゃないかなとは思いますね。

京都のね、内裏にいたころっていうのは、ずっと武というものが、戦に備えるものっていうのを大事であるっていうのを、常に注意喚起はしていながらも、それを大事に思ってくれる仲間だったりとかがいなかったっていう。

それが大宰府に行って、こういうことが起きて。やっぱりその大切さといいますか、そういうのを感じながら、彼の中でもがきながら立ち向かったんじゃないかなっていうのは、だから、本当に臨機応変ですよね。