和菓子から洋菓子や調理食品まで…さまざまな成形作業を可能にする「包あん機」
最後は、大福やまんじゅうを成形できる「包あん機」のご紹介です。世界で初めてまんじゅうやクロワッサンの自動成形機やシステムを開発したのがレオン自動機(本社:栃木県宇都宮市)。社名にある「レオン」は、物質のもつ「粘性」や「弾性」といった性質を基にその物質の流動を解明する流動学(レオロジー)に由来。このレオロジーを礎とする応用工学から「粘性」と「弾性」の条件を巧みに利用して、食品のデリケートな味や食感を損なわず成形する自動化システムを開発、製造しています。
今回ご紹介する「火星人CN700」は、一台で和菓子のみならず洋菓子やコロッケなどの調理食品まで様々なメニューが作れる万能型包あん機。手作りのような本格和菓子を1時間で最大5100個作ることができます。高性能の秘密は大きく2つ。サイクロイド式生地送り機構によって生地の流量が安定させて、豆大福やチョコチップクッキーなど粒上素材をスムーズに送り出すことが可能に。また2段コンベヤー仕様により、小さな形状の和菓子を高速かつ均一に生産することができます。さらに別のオプションを搭載することでクリームやジャム等の柔らかい素材や、栗やフルーツなどの固形物もつつむ事ができるため、洋素材を組み合わせたネオ和菓子の製造もできるようになると言います。国内のご当地食材を使ったその土地ならではの和菓子を製造することができ、お菓子や総菜の概念にも楽しい進化が期待されます。
食品を生み出す製造機器の技術は食文化の多様化やグローバル化にともなって、可能性は無限大に広がりつつあります。和食が世界中いろいろなシーンで花開く時代もそう遠くはありません。
<著者>
スギアカツキ
食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。食に関する企業へのコンサルティングの他、TV、ラジオ、雑誌、ウェブなどで活躍中。