子どもの言い分を聞き、解決方法を考えてもらう

あるお宅では、お子さんが家に帰って来て、リビングに上着をバサバサと脱ぎ散らかし、ランドセルを放り出す、というのがお母様の悩みでした。

お母様は、上着は玄関に掛けてきてほしいし、ランドセルは、自分の部屋に片づけてほしいと思っている……、でも子どもたちはそうしないんです。

それで、私は、その子たちに聞いてみました。

「なんで、いつもリビングまで持ってきて放り出しちゃうの?」と。答えは、

「だって、玄関で上着を脱いだら寒いでしょう?それに、玄関で上着を脱ぐには、ランドセルを1回下ろさなきゃいけないから面倒くさい!一度に全部やりたいよ!」でした。

そう、子どもにも言い分があるんです。

それなら、その子どもたちの「使いづらさ」を解決すれば良いということになります。

「じゃあ、どこなら片づけられる?」と子どもたちに聞いてみました。すると、

「リビングにコート掛けの場所があったら、ちゃんと片づけられる!」という答えが返ってきました。

お母様には、「コート掛けは玄関にあったほうがいい」という思い込みがあったんです。

でも、使いづらさを放置するべきではない、というのは大人だけじゃなく、子どもも同じこと。

それで、お母様と相談して、リビングの一角にコートを掛けて、ランドセルを置けるスペースを作ることにしました。結果は大成功。子どもたちは、そのスペースに、ちゃんとコートを掛けて、ランドセルを置くようになりました。

何回もトライして、良い方法を探していけばいい

ここで大切なことは、子どもたちと一緒にうまくいく仕組みを考えたこと。大人でも子どもでも仕組み自体に納得したら、絶対に実行してくれるようになります。

この例では、たまたま1回でうまくいくようになりましたが、1回変えただけではうまくいかなかった、という例も当然出てきます。一緒に考えた仕組みが、やっぱりうまくいかなかったときに、絶対やってはいけないのが、

「ほら、違ったでしょう」「ほら、うまくいかなかったでしょう」

と相手を責めること。

やってみたら、やっぱり違ったね、なんてことは、あって当然。「どうやったらできる?」「そこに置けば、ちゃんと片づけられる?」と試行錯誤しながら、「ここだ!」という場所を見つければいいんです。

受講生のみなさんの中には、「ここに辿り着く前に、片づけの資格を持ったプロを頼ったんだけれど……」とおっしゃる人も多かったです。「それでも問題が全く解決しなくて、困ってしまって……」と。

よくよく聞いてみると、それは、片づけの資格を持ったプロが作った仕組みなんですよね。だから一時的に、良くなっても仕組みが崩壊しやすく続かないのです。

むしろ、片づけ下手の人や面倒くさがりの人が、「これならできる」と思って作った仕組みの方が上手くいくんです。

一生懸命考えて、「うまくいった!」と思ったら、必ず自信につながります。自分で考えた仕組みなら、維持したくなるでしょう?

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「片づける場所」や「片づけ方法」は、使う本人が考えた仕組みの方が続きやすい

西﨑 彩智
株式会社Homeport  代表取締役
お片づけ習慣化コンサルタント