お盆と盆踊りや花火との密接な関係

お盆にふるさとへ帰ると、盆踊りや花火大会が催される地域が多いと思いますが、これも実はお盆の行事のひとつなのです。

1.盆踊り

盆踊りは、ご先祖様の霊とともに踊って楽しんでもらい、この世への未練をなくしてあの世に帰っていただくために行われます。

そもそもは平安時代に仏教を広めるために「空也上人(くうやしょうにん)」が考案した「踊り念仏」が由来といわれています。空也上人は、仏教の堅苦しく難しいイメージを払拭しようと、念仏に節を付け、歌いながら布教活動していました。

鎌倉時代になると、「一遍上人(いっぺんしょうにん)」によって、踊り念仏は全国に広まります。そして踊り念仏には、死者の霊を慰め、極楽浄土へ導く力があるとされていました。踊り念仏に芸能性を加味した念仏踊りが生み出され、室町時代には人々は太鼓をたたいて踊るようになります。

お盆のときは人が集まるし、また祖先の霊を供養するという盂蘭盆と念仏踊りの目的が重なることから、盆に人が集まって念仏踊りが踊られるようになり、それぞれの地域固有の盆踊りへと発展していったわけです。

仏教的な意味合いから始まった盆踊りですが、次第に民衆の娯楽の要素が強まっていきました。江戸時代には地域住民の交流の場となり、また男女の出会いの場としても利用されるようになりました。昔は多くの男女が一緒に集まるイベントはほとんどなく、盆踊りは貴重な機会だったわけです。

そして旧暦は月の満ち欠けで暦を刻むので7月15日は満月で、月の明るい光のもと、気持ちは高ぶったことでしょう。男女が泊まり込むざこ寝堂が多くの農村に設けられました。明治時代には盆踊りは風紀を乱すとの理由で、取り締まりの対象になり盆踊りは激減しました。それが大正時代には復活し、日本の夏の風物詩としていまも受け継がれているのです。

ご先祖様の霊を楽しませ、また交友を図るのが目的ですから、盆踊りへの参加は原則自由です。ただ盆踊りで使用する曲や振り付けには、それぞれ意味があります。たとえば足踏みは先祖の霊を静めるためです。ですから、やぐらの上のリーダーなどを真似て、同じ振り付けで踊ってみましょう。

2.花火大会

迎え火、送り火というように、お盆には火がつきものですが、「火」はあの世とこの世をつなぐことができるものと考えられています。その火を大々的に集めたのが花火です。

たとえば、「たまや~」「かぎや~」の掛け声がかかる東京・隅田川の花火大会が有名ですが、こちらは八代将軍の徳川吉宗の時代である1733年に始まった日本最古の花火大会です。

この前年に日本は大飢饉に襲われ、100万人近い人が亡くなっていました。この弔いの意味で悪霊退散を祈願して開催されたのでした。祖先を敬う盆と意味が重なることから、やがて盆に集中して花火大会が実施されるようになり、現在に続いています。

3.五山の送り火や灯篭流し

京都市で周りの五山に火を灯したり、長崎の江迎千灯篭など川にロウソクを灯した船を流す灯篭流しも、火を大々的に集めた送り火のひとつです。