家族や友人との会話のなかで、前に聞いたことと同じ話題を、相手が話すシーンに遭遇することも多いのではないでしょうか。また、逆に自分が同じ話題を繰り返ししてしまったと気づいて、気恥ずかしい気分になることもあるかもしれません。エッセイストである阿川佐和子氏の著書『話す力 心をつかむ44のヒント』(文藝春秋)より、今回は、同じ話を繰り返しすることの「意外なメリット」について、詳しくみていきましょう。
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前にも聞いた、前にも書いた
人が話をしているとき、
「あ、その話、前にも聞いた」
そう思うことがあります。そういうときはどうしましょうね。
子供の頃、父の兄である伯父が広島から上京し、ウチでご飯を食べていると、たいてい「前にも聞いた、その話」事件が起きます。
そして我が家族は伯父に見えないところでこっそり人差し指と中指を立て、「2回目」と確認し合い、ケラケラ笑い転げておりました。思えば意地悪なことをしたものです。自分が話を繰り返す年頃になると「おおらかに聞いてあげればよかったな」と反省します。
中村メイコさんがご自宅で話をしながら、ふと不安になり、
「あたし、この話、前にもした? 2回目?」
娘たちにそう問うと、
「2回目じゃないわよ。4回目!」
厳しい娘たちはばっさり母上にそう告げるそうです。
会話だけではありません。原稿を書きながら、「ああ、この話は前にも書いたな」と思うことは多々あります。そういうときは、「以前にも書きましたが」とか「他の本にも書いたとおり」とか前置きをして、ちょっと書き方を変えてみたりします。
現に読者の皆様は、「あれ、この話、また書いてるぞ」、「同じネタでまた稼ごうとしているぞ」とお気づきの方もいらっしゃることでしょう。まことに申し訳ない。
そう言っておきながらナンですが、自分でも「また書いている」と気づいて少し落ち込むとき、思い出す言葉があります。
昔、作家の吉行淳之介さんがおっしゃっていたのです。
「人の話を勝手に書いたら盗作と言われるかもしれないけど、自分の話ぐらい盗作させてもらいたいよ。一人の人間が、そんなに面白いエピソードをたくさん持ってるわけじゃないんだから」
ま、私の場合は、インタビューしたゲストのお話をたくさん使い回ししていることが多いので、自分のエピソードだけではないんです。