おとなしい人はリーダーシップをとるのが得意じゃないイメージがありますよね。脳科学者の西剛志氏は著書『「おとなしい人」の完全成功マニュアル 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』の中で、「リーダーシップは従業員によって決まる」と言っています。一体どういうことでしょうか? それはなぜなのか、本書から紹介します。
職場の環境によっても、うまくいきやすい性格は変わる
これは余談ですが、リーダーシップと同じように、特定の分野でうまくいくためには、その分野ごとに成功に必要な性格が異なるようです。実際に、8458人を対象にしたリサーチでも、「協調性」が求められる仕事では「協調性」がある人はより収入が高い傾向にありました。
しかし、「開放性」が求められる職種では「協調性」よりも「開放性」のスコアが高いほうがより年収が多い傾向にあったのです。研究職や職人のように周りに合わせるよりも独自性の高い仕事を求められる職場では、人に合わせすぎる人(協調性が高すぎる人)はうまくいかないということを意味しています。人は自分に合った場所にいることで、はじめて花開くということなのかもしれません。
脳は価値観よりも行動を重視する
一方で、内向性が高い人がリーダーとなったときに避けたほうがよい場面もあります。それは緊急性を要する場面です。そこでは外向型リーダーに軍配が上がります。たとえば、災害時の避難指示を出さなくてはならない、会社が倒産の危機にあるなど、緊急の即断的な対応が必要な場合は、外向型リーダーが力を発揮します。
落ち着いていて、もの静かな内向型が話すよりも、熱意をもって緊急度の高さを訴えかけたほうが、大勢の人を動かしやすいのでしょう。とはいえ、内向的な人が陣頭指揮をとって、緊急トラブルの対処をしなければならない場面もあります。そんなときは、必要に応じて「外向的なふるまい」をすることで、外向型リーダーと同程度の効果が発揮できる、というクイーンズランド大学の研究結果もあります。
大きな声を出したり、身ぶり手ぶりをいつもとは変えてみたりと、一時的に「外向型」の仮面をつけて、それらしい態度をとるだけでも、周囲に影響を与えられるそうです。私たちの脳はリーダーを感じるために、メンタルよりもその人の行動を重視する傾向があります。そのため、「有言実行」がリーダーシップに最も有効な方法の一つと言えるでしょう。