VRは新しい発見への扉を開く技術
VRゴーグルは比較的安価で、あまり大がかりな実験設備を必要としないため、脳科学や神経生物学にとっては、研究に取り入れやすい器具です。
もちろん、マウスによるVR実験で明らかになったことが、人間や他の動物にも当てはまるのかという点については議論の余地があり、研究も進められています。ワシントン大学のエリザベス・バッファロー氏は、マウスと同様に、霊長類の海馬でもVRの刺激によって特定の場所のニューロンが発火するかどうかを研究しています。今後の技術発展によっては、将来的にVR以外の技術を利用して動物の脳の活動を観察することが可能になるかもしれません。それでも現時点では、VRは人類に新しい発見をもたらす上で大きな貢献をしていると言えるでしょう。
現在、VRやメタバースといった技術やサービスは、それがどうお金を生むか、人々の生活をどう変えるかといった側面から議論されることが多いです。しかし、筆者は現在のVRの醍醐味は、人類に新たな「発見」や「問い」を与えてくれることにあるのではないかと考えています。
齊藤大将
株式会社シュタインズ代表取締役
情報経営イノベーション専門職大学客員教授