ギリギリ近所づき合いはキープをしよう

大都市ばかりでなく、地方の都市でも近所との関係は希薄になっているようです。「面倒だから」と、近所づきあいを放棄している人もいます。ただ、昔から「遠くの親戚より、近くの他人」というように、いざというときに頼りになるのは地域社会の住人です。


普段は地元のつきあいを無視していて、困ったときだけ助けてもらおうというのは、ちょっと虫のいい話でしょう。親密な関係を築くことはありませんが、最低限のコミュニケーションは必要です。たとえば、一人暮らしの高齢者が大地震で自宅に閉じ込められたとしても、親しいご近所さんが誰もいなければ、その安否を心配して家を訪ねてくれる人も、行動を共にしてくれる人もいないわけです。


別に災害に備えて近所とつきあえというわけではありませんが、最初からつきあいを拒否せず、茶飲み友だち程度の仲間をある程度はつくっておくといいでしょう。もし、定年まで働くのに精一杯で、近所づきあいをする時間がなかったというなら、地元の町内会や自治会に参加してみるのもよい方法です。


どの地域にも町内会や自治会のような地域住民のための組織がありますから、とりあえず会員になって、地域の行事やイベントに参加してみてはどうでしょうか。はじめは馴染めなくても、何度か顔を合わせているうちに気心も知れ、打ち解けてくるはずです。

なかには「友だち選びは慎重にしないと」と身構える人もいるでしょうが、そこはちょっとずぼらに、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」くらいに考えて、いろいろな人に気軽にアプローチすればいいのです。そうすれば、意外にコミュニケーションの道は開けるものです。
 

保坂隆

保坂サイコオンコロジー・クリニック院長