気に入った物件を見つけ、気に入った家具を配置したあと、頭を悩ませる人が多いのが「デッドスペース」です。ものを置くには狭いし、位置を変更してもまた別のデッドスペースが生まれる……こうした悩みの解決策はあるのでしょうか。『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)著者で一級建築士/模様替えアドバイザーのしかまのりこ氏が、事例をもとに「デッドスペースの活用法」を紹介します。
「デッドスペース」の解決策は、収納を“造る”
部屋に収納を増やす方法のひとつは、部屋のデッドスペースを利用してリビング収納を造る方法です。
部屋に家具を置く際に、なぜか壁の一部がせり出していて家具が上手く置けないという思いをしたことも多いのではないでしょうか。
「空間はあるけれども何にも利用できていない無駄な空間」、これがデッドスペースです。デッドスペースは、柱や梁、パイプシャフトなどのせいでできてしまうため、柱や梁が集まる部屋の隅や壁ぎわに多く位置しています。
小さなデッドスペースでも、棚を作れば便利な収納スペースに
このデッドスペースを工夫次第で便利な収納に変えることができます。例えば、小さなデッドスペースは、幅が狭いため、そのままでは既製品の家具などは置けません。
しかし、[図表1]のように棚をつければ、ちょっとした収納スペースが造れます。棚は造りつけが理想ですが、賃貸の場合などは、市販の突っ張り棚などでもできます。
この棚に整理ボックスなどを置けば、リビングに集まりがちな本や文具、おもちゃなどを仕分けして片付けることが可能になります。
部屋のデッドスペースに収納スペースを造ることで、どれだけ部屋が片付くようになるのか、実際の事例で確認してみましょう。
【事例】書類や携帯などが散らかり、テーブルが片付きません
[図表2]はリビング・ダイニング部分が約10畳のマンションの部屋です。小学生のお嬢様とご夫婦の家族3人で暮らしていらっしゃいます。
「家族みんなのカバンや携帯、雑誌や書類・鍵や財布などが、ダイニングテーブルの上や下などに散らばり、物を探すのも苦労します。何がどこにあるのか、一目で分かるように、物の収納場所を造りたい」とのお悩みから、収納家具の追加も含めた、模様替えをご希望されていました。
リビング・ダイニングには収納が全くありません。そのため、家族が集まりやすい4人掛けダイニングテーブルには、行き場のないカバンや携帯・ノートなど、各自のものが置かれて散らかっていました。
また、ダイニングテーブル後ろの壁の端には、パイプシャフトや柱によるでっぱりがあり、何にも利用できないデッドスペースとなっていました。