ペットを飼っている家庭では、その匂いで悩むことがあります。しかし、効率よく換気を行うことのできる家具配置にすることで、狭い部屋でもにおいの問題を解決できるそうです。一級建築士/模様替えアドバイザーのしかまのりこ氏の著書『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社)より、3種類の換気と有効なレイアウトについて、詳しくみていきましょう。
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ペットの「におい」を解決する“空気の流れ道”
臭いは、広がる前の発生源対策が基本
住まいの臭いは、トイレ臭やエアコンなどのカビ臭、排水溝や生ごみによるキッチン臭、カーテンや家具などからの家具臭など、様々なものがあります。
なかでも、とくに頭を痛めるものは、ペットの糞尿や、ペット自体の体臭などによるペット臭です。
このペット臭ですが、尿に関してはアルカリ性の悪臭を発生し、また糞に関しては酸性の悪臭を出すといわれています。これらの悪臭は、臭いの性質から一度発生し、住まいに広がってしまうと、消臭は難しくなります。
そのため、臭いの性質に合った消臭剤などで、臭いの発生や拡大を抑える「発生源管理」や「発生源対策」が、悪臭を抑えるための基本となります。
24時間換気は、換気による「空気の流れ道」に注意
このように、ペットによる悪臭は、発生源で対策することが基本となり、広げないことが大切です。
しかし、一度発生し、広まってしまったペット臭などの悪臭は、換気によって解決する必要があります。
住宅の換気については、2つの考え方があります。1つは、キッチンでの料理やトイレでの排泄行為の後、お風呂の後などに、一時的に臭いや水蒸気を換気する「局所換気」です。
そして、もう1つの換気は、常時、室内の換気を行なう「24時間換気」です。
この24時間換気ですが、文字通り、室内の空気を1日中、24時間換気するものです。システムには2時間で室内の空気を丸ごと取り換える性能の換気扇が使われており、正しく稼働すれば、臭いや有害物質の排出には大変有効で優秀な建築設備になります。
しかし、ここで重要なことは、換気により発生する「空気の流れ道」です。
ペット臭などの悪臭も、いったんこの「空気の流れ道」に流れてから屋外に排出されます。そのため、悪臭などを換気する「空気の流れ道」の中に、食事をするダイニングや、リラックスするリビングなどがあると、悪臭に悩まされることとなります。
換気には3種類がある
24時間換気の換気方法には、第1種換気と呼ばれるものから第3種換気と呼ばれるものまで、3種類あります。
第1種換気とは、新鮮な空気の取り入れと、汚れた室内の空気の排気を両方とも機械で強制的に行なう換気方法です。
大型施設で採用されていることが多いですが、セキスイハイムや大和ハウスなど、大手ハウスメーカーも採用しています。室内の空気の流れは、機械による給排気のため、最も効率的で、換気状態が安定しています。
第2種換気とは、病院の手術室や、精密機械の工場などで採用される換気方法で、住宅で使われることはほぼないため割愛します。
第3種換気とは、汚れた室内空気の排気は、機械を使い強制的に行ない、新鮮な空気は、給気口から自然に取り入れる換気方法です。
多くの住宅で、この第3種換気が使われており、戸建てはもちろん、マンションでも、最も一般的に使われている換気方法です。部屋の壁やサッシにつけられた給気口から、直接外の空気を取り入れ、トイレや浴室、洗面室などに設置された機械により、汚れた室内空気を屋外に排気します。
このように換気方法には、色々なものがあります。そして、どの換気方法も目に見えない「空気の流れ道」ができています。
そして、この目に見えない「空気の流れ道」が、家の中の悪臭問題に、深く関係しているのです。