人生100年時代、金銭面でも“生きがい”の面でも、「定年後のキャリア」の重要性が増しています。定年を控えた会社員は自身の「定年後のキャリア」をどのように考えているのでしょうか。金澤美冬氏の著書『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)より、現役世代の“生の声”をみていきましょう。
約半世紀勤めた会社で定年間近の64歳男性、1年前に執行役員を役職定年→継続雇用も…65歳以降は再雇用を選択しない「給与以外」の意外な理由
サラリーマン生活のなかで「失われていくもの」
セカンドキャリアには様々な捉え方があると思いますが、突き詰めると「自分らしさ」が肝なのではないかと思っているんです。サラリーマンを長いことやっていると、「自分らしさ」というものを失う人が多い気がします。
普通に勤めていれば、毎月お給料をもらえる。自分自身を振り返ってもこれは本当にありがたいことですが、一方、会社を退職した後、いざハローワークに行って「60歳以上の求人はありませんか?」と言っても、すごくミスマッチで狭き門だと聞きます。そして、「どんなことができますか?」と聞かれた際「管理職です」と言っても仕事があるはずないですよね。
10数年前の先輩は60歳から年金がもらえ、悠々自適に見えました。今は、様変わりですよね。将来70歳まで年金受給ができない時代も来る。その予測のもとで、そのために今何ができるかを考える。
サラリーマン経験を活かせる再就職は「かなり厳しい」という現実
私はまだまだ会社に残ってやりたい仕事もありました。でも役職定年を機に65歳からのリ・スタートの道を考え始めた。
最近は高齢者向けの転職サイトができたり、会社が退職後の働き方に対するサポートなどを行うところもあるようですが、それも限られたものだと思います。
つまり、何十年か過ごしたサラリーマン経験を活かせる再就職はかなり厳しい、と早めに認識しておく必要があると感じます。
「定年退職した後の仕事でも、年収6割は欲しいな~」なんて話も聞きますが、これも甘いと思います。ここに早く気づいて、何をするかが大事だと思います。そうすれば現役年収の6割も夢じゃない。
それどころか、やり方次第では現役時代を上回る可能性もあるのでは。そう思うだけでワクワクしませんか。
これらを含めて考えると、私自身もまさにそうなのですが、「手放すと得られる」ことを知る。定年退職を機にまずマインドチェンジをしなければならない。
サラリーマン生活が長い人のズレた考えにダメ出しするのではなく、そういった方に対し「60歳からの生き方・あり方」をサポートできるような仕事を退職後に行っていきたいと思っています。