FP Office株式会社の秋元秀斗FPによると、高所得の会社員が定年後にお金で苦労するケースは少なくないそうです。「高い給与をもらえる人は老後の資金繰りもきちんと計画しているはず」と思ってしまいますが、いったいなぜそのようなケースが頻発するのか。年収1,200万円のエリートサラリーマン田中さん(仮名・59歳)の事例をもとに、予防策と解決策をみていきましょう。
年収1,200万円、タワマン住みの59歳“勝ち組”サラリーマン…年金機構から届いた〈青色の封筒〉に思わず「なにかの間違いでは」【FPの助言】
「債券投資」と「新NISA」でお金に働かせる
3.保有資産を運用して増やす
FP「なるほど。であれば、田中さんにおすすめしたいのは資産運用です。田中さんが保有している2,000万円に働いてもらい、資産を長生きさせましょう。
たとえば、2,000万円のうち半分の1,000万円を約4%の利回り(税引前)の「米国債券」に投資し、さらに月々10万円を新NISAのつみたて投資枠で投資すれば、一時金の運用とインフレ対策どちらも叶えることができます」。
田中さん「投資かぁ……実はいままで投資経験がなくて。いきなり株式や外国のなにかに投資しても大丈夫でしょうか?」
FP「たしかに、投資の経験がなければ少し怖いイメージがあるかもしれません。しかし、田中さんが毎月支払っている年金の積立金も、実は国内債券・国内株式・外国債券・外国株式の4資産がそれぞれ25%で運用されているんです。2001年からの運用実績は平均して+3.99%/年の運用益※をだしているので、田中さんの資産を長生きさせるには有効な手段ではないかと考えます」
※ <参考>GPIF年金積立金管理運用独立行政法人HP
田中さん「そうなんですね! 65歳以降に自分が働くのは嫌なので、お金に働かせるほうがいまの自分には合っている気がしてきました」
FP「では、支出を減らす⇒食費を減らす。資産を増やす⇒一時金の運用と積立運用を併用するという2本建てで様子をみましょう」
老後の資金計画は早いうちに対策を
年金は収入によって金額が変わるほか、今回見てきた繰下げ受給のほか繰上げ受給もあり、貰う年齢によっても金額が変わります。
いつまで働くのがベストかも人それぞれ変わってきますが、今回の田中さんの場合、65歳以降は働きたくないとお考えでした。もう少し早めに対策をとれば、65歳までも働かずに済む可能性もありました。
田中さんが遅すぎたわけではありませんが、お金の対策は早いうちにとるのが一番です。ファイナンシャルプランナーをはじめ、専門家に相談しながら、気づいたタイミングから先を見据えて準備を進めましょう。
秋元 秀斗
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー