FP Office株式会社の秋元秀斗FPによると、高所得の会社員が定年後にお金で苦労するケースは少なくないそうです。「高い給与をもらえる人は老後の資金繰りもきちんと計画しているはず」と思ってしまいますが、いったいなぜそのようなケースが頻発するのか。年収1,200万円のエリートサラリーマン田中さん(仮名・59歳)の事例をもとに、予防策と解決策をみていきましょう。
年収1,200万円、タワマン住みの59歳“勝ち組”サラリーマン…年金機構から届いた〈青色の封筒〉に思わず「なにかの間違いでは」【FPの助言】
このままでは定年後「老後破産」に
ねんきん定期便はいつ届くのか?
ねんきん定期便は誕生月の2ヵ月前に作成され、毎年誕生月に送付されます※。基本はハガキで送付されますが、年齢によって送付形式、通知内容が異なります。
※ なお、もし届いていない場合は、引っ越しなどで送付先が現住所と異なる可能性があります。年金事務所に問い合わせ、確認することをおすすめします。
節目となる35歳、45歳、59歳の誕生月には田中さんが受け取ったように封書で送付され、「保険料納付額」「年金加入期間」「老齢年金の種類と見込額」「年金加入履歴」「月別状況(全期間)」が記載されています。
定年後も寿命は約20年…「人生100年時代」の老後資金はいくら準備すればいい?
厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、令和4年現在の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっています。これをベースに考えると、年金受給開始年齢である65歳以降、男性は最低16年、女性は22年分の「老後資金」について準備しておく必要がありそうです。
FPが田中さんのねんきん定期便を確認させてもらったところ、65歳から受け取れる年金額は、田中さんが確認したとおり21.15万円と記載されています。
田中さんは「受け取れると思っていた金額からすると正直、少なすぎて……。どうすればいいでしょう?」と非常に不安そうです。
現在の田中さんの資産は現金のみ。FPがライフプランシミュレーション(今後の収支見込みの試算)を行ったところ、田中さんがこのまま平均寿命の81歳まで生きた場合、2,700万円ほど資金不足が発生することがわかりました。
つまり、いまの生活水準を維持すると、65歳以降早い段階で「老後破産」に陥る危険性が高いということです。